助けられる


初夏のまぶしい日差しが体を包むように心地の良い朝を運ぶ。
しかし私の体は朝という時間帯がどうも苦手なため、結局心地よく感じることはないわけだけれど。

そうやってまた1日が始まっていくんだ。
「イヴーっ」

「あ、ベルおはよう」

「おはようて…もう昼やん」

「私はさっき起きたばっかり」
誇れることではないのは、自分でももちろんわかってるけれど、起きられないんだから仕方がない。


「そんなあなたに、ベルベル特製チョコレートブラウニー」
余り物は基本毎日まわってくる。だいたい甘味が多い、というか甘味以外回ってきたことはない。
嫌いではないので毎日おいしく頂いてる。

「そういえばイヴ、引っ越し先決まったん?」

「まだ。知り合いに条件に合った物件探してもらったんだけど、家賃がね…」

「あー…せやな、…あ、ルームシェアとかどう?」

「あー…でも相手いないし」

「ウチがいけたらいったんやけどなー」

「知り合いは大抵駄目だろうね」

「うーん確かになぁ、募集掛けて変な奴引っかかっても嫌やし」

「そうなんだよね」
ベルは頭の切れが早い、そのため基本先の先まで考えてくれてる。
友達に一人ベルを持つと大分違う。

将来は教師になるそうだ。まぁ、ベルなら面白くていい先生になれそうだ。


「やっぱ理想が高すぎるのかな…」

「イヴの理想が高いのはいつもの事やん」

「そう?」

「男も、家も、車も、会社も」

「あはは、そんなことないって」

「あるってー、気付いてへんだけー」

「そんなことないない。じゃぁ私講義あるから、行くね」

「あ、ほななー」
他愛もない会話を終えると、私はそそくさと経済学部のある校舎に向かった

―――――…

(また今日レポート出されるな…ただでさえ3つぐらい溜まってるのに)
ベルと別れて授業の事について考えながら、溜まってたメールの返事を打っていると

チリンチリンッと突然聞こえた軽快な金属音

「え?」

「チョ!バカ!あぶねぇだろ!!前!!」

「おい!!そこのどいて!うぉっ!」


横から前方不注意の暴走自転車が突っ込んできた。まぁ、困ったわ。
キキィッと急ブレーキをかけたが、スピードがあったからか、まったく止まる気配がない。

フワッ

その時、腹部を後ろにふわりと引かれ、辛うじて衝突は免れた。

「あら」


「おーっつ…!」

「っぶねー!!」
どうやらようやく止まって向こうも安心したようだ

「大丈夫かい?」

「え、あぁ」

やけに聞き覚えのある声で振り向いてみたら、案の定ジョーンズだった。助けてくれたことには感謝しなくては。

「コラ!君たち危ないんだぞ!!」

「す、すいません!」

「ごめんなさい!」

丁寧とは言えないけど、そうやって謝るとすぐに自転車2人組は去って行った。

「あ、…ありがとう」

「あ、イヴじゃないか!」

こいつ気付いてなかったのか

「あぁうん、イヴだけど…てかなんでファーストネームになってるのよ…」

「なんだい?いいじゃないか!友達だろう!?」

いつからだ、そんなの聞いてない

「まぁ、ひとまず有難う」

もう一回そう告げて、彼の腕から抜けると
彼は下に落としたチャームポイントにもなるような大きな紙袋を持ち上げて、中のハンバーガーを手に取って口に運んだ。

一連の動作が早すぎてびっくりだ。

「ほほろで、ほへはらほうぎはい?」
 (所でこれから講義かい)


「…ハンバーガー食べてばかりだと太るよ」

「君はオレにハンバーガーをやめろって言うのかい!?鬼畜だよ!!」

「いや、言ってないけど」

「で、どうなんだい?」

「そうね、まぁ、講義ね」

しかし、独特な言葉遣いの子だな…どうにかならないのか。

「一緒に行かないかい?今日はマシューがいないんだ」

そういうので、まぁ助けてもらったお礼ついでに途中まで一緒に行ってやった。

その後は私も眠たい授業を3時間みっちり受けた。





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