手に入れたもの



付き合って3ヶ月。ヒーローという職業柄特別デートに出かけたりはしなかったがディナーにはよく誘ったり誘われたりした。虎徹さん行きつけの店では今まで食べたことのない料理、所謂お袋の味というものに感動。酔っ払った虎徹さんは普段はどちらかというと大人(こういうと拗ねるかもしれない)で甘やかしたい方だが、酒が入ると甘えてくる。それがとてもツボで……と、これはまたの機会に。

今悩んでるのはもう少し大人な関係のことである。僕はずっと両親を殺した相手を追っていた。そればかりに集中していたため近寄ってくる女性には見向きもしなかったのだ。つまり、僕にはセックスの経験がない。そういうことには疎くて、手をつなぐのもキスも虎徹さんが初めてである。虎徹さんはそんな僕を見てかわいいとからかっていたが最近は言って来ないから前よりましにはなっているのだろう。

虎徹さんを好きだからこそ先に進みたい。だから僕は今日虎徹さんを家に誘おうと計画していた。この日のためにネットや本でやり方はリサーチし、ゴムやローション等の道具も揃えた。勿論食事やお酒も虎徹さん好みのものを準備済みだ。


「んー!疲れたー!」
「虎徹さんが仕事を後回しにするから溜まるんですよ」
「だっ!分かってんよー!それでもちゃんと終わらせてんだろ!」


椅子の背もたれをギコギコさせながら虎徹さんは言った。ついこの間壊したばかりなのに懲りない人だ。


「虎徹さん、今日食事でもどうですか?」
「おっいいねぇー!どこいく?久々にあの店いくか?たしか今日は小鉢がついて…」
「僕の家に来ませんか?」


声は裏返らなかった。誘い方も…悪くはない。ただ、虎徹さんは固まっていた。無理もない。今まで家に誘ったことがなかったのだ。なんとなく誘うときは2人が繋がる時みたいな暗黙のルールが出来ていた。虎徹さんも理解したのか段々と頬が赤く染まっていく


「……ああ、お邪魔しようかな」





それは完璧なイエスサインだった。





[ 8/15 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -