日常
久しぶりの快晴。まさに洗濯日和である。折角だから皆の布団を干そう。きっと今夜はお日様の匂いにつつまれていい夢を見れるだろうな、と思いつつ僕は朝食の準備を済ませた。まだ布団の中であろう恋人を起こしに寝室へと向かう。
「銀さん、朝食できま…」
窓からさす光で照らされている布団から様々な方向にはねているお馴染みのテンパと長めのストレートヘアーが顔を出している。
「あんたは朝っぱらからなにしてんだぁあああああああ!!!!」
掛け布団の端をもち一気にはぎとる。予想通りそこには急に入ってきた光に顔をしかめる銀さんとスヤスヤと眠り続けるさっちゃんこと猿飛あやめがいた。
「朝からうるせえなー、新ちゃんは…なに?目覚めのキスでもしてくれんの?」
大声で目が覚めたのか、腹をボリボリかきながらニヤついた顔で言う銀さん。そんな銀さんにボディークローをくらわせたのはいうまでもない
今日の味噌汁は出汁がうまくいったのかいつもより美味しい。玉子焼きも綺麗に焼けた。
「なぁー新ちゃん、誤解だってー!あいつはもう追い出してきたから!」
お金がないので品数は少ないがおしんこうやら焼きのりやらで誤魔化す。こういうのは安いがお米が進む。
「あいつが何時の間にか入ってきたんだってー!銀さん不可抗力よ?被害者よ?」
神楽ちゃんは米をもりもり食べるから本当おかずにはお金がまわらない。今だってすごい勢いで銀さんの分まで食べている。
「大体銀さんが好きなのは誰よ、ん?」
後ろから前に腕がまわり軽く抱きしめられる。ずっと無視するように食べていたが流石に箸を置く。
「……わかってますよ、頭では」
銀さんが悪くないのはわかってる。本人の言うとおり不可抗力だし、勝手に入ってきたさっちゃんが悪いんだし。
でも僕は平凡な容姿だし、強くないし…女じゃないし。嫉妬は勿論…ちょこっとするけどそれより不安になる。頭では理解していても心が許さなかった。
「新八。俺は別に性別だけで好き嫌いを決めるわけじゃねぇぞ。もしそうなら最初からお前と付き合ってねえよ」
「……はい」
「俺が好きなのは新八、お前だ。不安にさせちまったのは悪かったよ。」
腕の力が強まる。さらに密着し温まったことで次第に体から力が抜けていった。背中を預けるように銀さんにもたれる。
「朝ご飯抜きはかわりませんからね」
「まじでか!?」
素直にはなれないからぶっきらぼうにそう言った。
太陽の匂いがする布団の中見る夢はどんなんだろう。もしかしたら後ろのこの人と一緒に居る夢かもしれない。そうしたら朝起きるのが名残惜しくなりそうだ。ただ起きなかった場合は現実のこの人が許してくれないだろうなと考えて僕は密かに笑った。
さっちゃんと神楽が空気w[ 14/15 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]