確かに、平凡な毎日に飽き飽きしていたけど、男からの告白なんて堪ったもんじゃない。
コンビニ袋からぐちゃぐちゃになった弁当を取り出しながら考える。走ったせいでお腹が空いているのか、小さくお腹が鳴った。
プラスチックの蓋を開けると、微かな唐揚げの匂いが鼻孔の奥を擽る。そのせいで、空腹感がより一層増した。
一人寂しくコンビニで買った弁当を食していると、テーブルが揺れた。
チラリと目線を弁当より右に移すと、携帯が鳴っている。
「…千秋からだ」
未だ振動を続ける携帯を開くと、ディスプレイには『加藤 千秋』の文字。
口の中に入っていた唐揚げをゴクリと飲み込んでから通話ボタンを押して携帯を耳に押し当てる。
「何?」
『あ、幸福?お前さぁ、明日とかって暇?』
弾んだ声で問い掛けてくる千秋。
その問い掛けに、横目でカレンダーを確認してから溜息を吐く。
「…休みだけど」
『お。じゃあ、久しぶりに飯でも行こうぜ』
「やだ」
千秋の誘いを間髪入れずに断る。
折角の貴重な休みを潰すなんて考えられない。
『即答かよ…ま、明日の昼に駅前な』
「ちょ、千秋!やだって」
キッパリと断ったにも関わらず、千秋は勝手に予定を決めて電話を切ってしまった。
ディスプレイを見ると、一分という短い通話時間が表示されていた。電源を押すと待受に戻る。
相変わらず自分勝手な千秋に、なんとなく笑みが零れた。
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