02





相楽伊武騎は狭く深く友達と付き合う。
浅く広く友達と付き合う俺にとって、クラスにいるそいつは嫌いで堪まらなかった。

別に何をされた訳じゃない。
ただ、見ているとイライラする。
見なきゃいいって頭ではわかっているのに、どうしても目で追ってしまう。

「木村、ちょっと手伝って!」
「はい」

自分の席に座ってボーっとしていたら、先生に呼ばれた。先生のいる廊下に行く短い距離の途中、チラッと相楽を見たら、あっちも俺を見ていた。

別にお互い様だからいいんだけど…。

「なんですか?」
「次の授業で使うプリント、運ぶの手伝ってほしいんだ」
「わかりました」
「んじゃ、俺の机にあるからよろしく。俺は別の資料持ってくから」
「はい」

2年になってすぐに生徒会長になってから、何かと雑用をお願いされるようになった。
めんどくさいけど、やりがいはある。
俺は、授業時間を告げるチャイムを無視して職員室へと足を向ける。

職員室に来て、先生の机の前に呆然と立ち尽くしてしまう。

「この量は無理だろ…」

この量のプリントを一人で運ぶのはちょっと無理がある。
あの先生はバカか。

「失礼しまーす」

ガラッと勢いよくドアが開いたと思ったら、そこには相楽がいた。
そして俺を見つけるなり、俺に近付いてくる。

「えと…あの、木村」
「何?どうした?」

相楽のことが嫌いだからといって、その気持ちを表に出すつもりは毛頭ない。
俺は、いつものように笑顔で相楽に問いかけた。



 



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