>> 赤毛の先輩

ティキ先生に美化委員なんて似合わない。この場に居合わせた全員がそう考えたと思う。私も絶対そう思う。だって絶対やる気なさそうなんだもん。と、気怠げに頭をかきながら年間予定を説明する先生をぼんやり見ていた。しかし、やる気がないのはみんなも同じなようで、一番後ろの席に座っている私から見ると、机に突っ伏して寝ている人がほとんどだった。

でも隣の人は違った。
ティキ先生の話を聞きながら前を向いていると隣の人が私の肩をつんつん、とつついた。私が隣を見るとその人はヘラッと笑った。

「あんたさ、葵ちゃんだろ?」
赤い髪の毛に翡翠色の目をした男の人は言う。そして驚いたまま固まった私の心を見透かすように続けた。
「アレンからよく話を聞いてるんさ」

私はアレン先輩の横にいる目立つ人のことを思い出した。きっとこの人だ。


「ま、俺は葵ちゃんのこと入学式の時から可愛いと思ってたさ」
その人はサラッととんでもないことを言って、肩を抱いてくるものだから、この人チャラい!と私の本能がそう言った。私の性格からしてチャラい人はどう接していいのか分からない。何?私なんて返せばいいの?笑えばいいの?先輩ーっ!

「こら、ラビ。委員会中に下級生を口説くなー」
「口説いてねえさ、スキンシップさ!」
「はい、認めません」

ティキ先生がラビ(って呼ばれてた)先輩を注意してくれたおかげで腕が離れ、私の肩と気は軽くなった。少し落ち着いてからラビ先輩の方を向いたら、先輩と目が合った。先輩は声に出さずに口だけを動かして「よろしく」と言って、人なつっこい笑顔を見せた。


赤毛の先輩



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