>> カップケーキ事件

なんともわくわくするようなオーブンの音が鳴る。今日は家庭科の実習でカップケーキを作っていた。ドアを開け中を覗けばこんがりといい匂いがする。

「おいしそぉ〜」
横を見ればロードもオーブンの中を覗き込んでいた。ふふ、楽しいな。

「それ全部葵が食べるのぉ?」
ロードが何か物言いたげに私のカップケーキを見つめる。

「ロードは自分のがあるじゃん」
「葵のが美味しそうなんだもーん」


「・・・1個食べる?」
「葵大好きっ」
そう言ってロードは私に抱きついてきた。そしてカップケーキを一口食べて「おいしーい」と言ってくれた。私も自然と顔が緩む。

「残りはぁ?」
ロードが尋ねる。

さて、どうしようか。
残りのカップケーキはあと2つ。


「それ葵ちゃんが作ったんさ?」
「はい。・・・・って、え?」

ラビ先輩が家庭科室の窓からひょっこり顔を出した。・・・一人だ。

「葵ちゃん、今明らかにげんなりしたさ」
「気のせいですよ」
ヘラッと笑った。

「何かいい匂いがしますね」
「お、アレン」
「先輩っ」
先輩がラビの横からひょっこり顔を出して鼻をクンクンさせた。

「葵ちゃん、態度やっぱり違うさ」
「気のせいですよ」
ヘラッと笑った。



「で、葵ちゃん。それ誰にあげるんさ?」
ラビ先輩がニヤニヤしながら尋ねてくる。

「えっと、」
先輩と目が合う。先輩の目はすごく輝いている。


「なにそれうまそう」
「あ、先生」
アレンの横からひょっこりティキ先生が現れた。先輩は明らかに嫌そうな顔をした。

「葵ちゃんが作ったの?そのケーキ」
「まあ、はい」
「へえ〜」
ティキ先生は「そっか、そっか」と意味深に先輩を見て微笑した。

「何ですか」
「べつに?」
この二人はいつも仲がよろしくない。


「で、葵ちゃん。それ誰にあげんの?」
ティキ先生がニヤニヤしながら尋ねてくる。

「えっと、」
「俺、昨日葵ちゃんに数学教えたね」
「ですね」
先生と目が合う。


さて、どうしようか。


カップケーキ事件



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