>> 異色な昼休み

心なしか、いや、あからさまにご機嫌なアレンが職員室前に続く階段を軽い足取りで降りていく。今から昼飯。だからか、アレンの機嫌の良さは。


いや違う。
これはきっと・・・



「あ、ラビ。今日は葵ちゃんも一緒です」

やっぱり、葵ちゃん関係だったか。俺は心中で大きく頷いた。









「で、ご褒美にアレンがメロンパン奢るんさ?」
「はい、葵ちゃん数学で上位に入ったんです」

アレンが自分のことのように拳を握り、勝ち誇った顔をする。
「それで奢りますって言ったらね、ラビ。葵ちゃん何て言ったと思います?」

知らねえよ。

「『一緒に食べちゃ駄目ですか』って言ったんですよ!」
「へーそれで?(棒読み)」
「もう、なんか・・・なんか、可愛いっ」


恋は盲目とはよく言ったもんだと思う。この間まで女の子に全然興味を示さなかったのに。今やもう葵ちゃんしか見えてねえ。

ていうか


「早くくっつけよ!」
見ててもどかしい。



*****


「本当にいいんですか?」
「いえ、全然いいんです」

遠慮がちにメロンパンを持って尋ねた葵ちゃんに、アレンは両手をハタハタ振った。

おい、ニヤけてんぞ。


「ありがとうございます」
葵ちゃんがふにゃっと笑う。あ、可愛い。

隣のアレンを横目で見れば、顔の筋肉が緩みきっている。ちょっとコイツ俺といる時より断然楽しそうなんですけど!ていうか、もはや俺の存在ないじゃん!俺寂しい!

しかし、そう思っていたのは俺だけではなかったようで、


「ねぇ、僕の存在忘れてなぁい?」
ハンバーグにフォークをさしながら、膨れ面で葵の隣に座った、つまり俺の向かいの席の女の子が言った。

「あ、ごめん」
葵ちゃんが申し訳なさそうに謝った。


ていうか、
「どちらさま?」


「ロードだよぉ」
女の子はニッコリ笑った。



異色な昼休み
なんかおかしくね?


――――――

ラビ視点になって初めて分かるアレンさんの惚れっぷり。



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