>> 魔法、かかる

「おいおいお前、校内で堂々と菓子食うなよ」

先輩と歩いてたらティキ先生に呼び止められた。私は謝りつつ「でも先生には言われたくありません」と反論した。だって先生も堂々と煙草吸ってるじゃないか。

「なんかお前、最近俺に対して当たり強くない?」
「そうですか?」

気のせいです。


「まあどうでもいいけど、飴玉早く飲み込みな」
「だ、だめです!」
「なんで」
「ま、まだ大きいから」
「噛みゃいいだろ」
「だ、だめですって!

魔法が解ける・・・」


無意識に呟いた言葉に、先生は目を点にした。私も言った瞬間後悔した。

「なにそれ魔法の飴玉なわけ?」
「・・・・・」
私は口をモゴモゴさせて先輩をチラリと見ると、先輩とバチッと目が合った。


「ふーん」
先生が何かを察した顔をし、ニヤリと笑って私の頭を撫でた。


「ま、魔法が効かなくても心配すんな。今度はちゃんと俺が教えてやるよ」
「はっ?」

そう言ったのは先輩だった。みるみるうちに先輩を取り巻くオーラが黒くなり、いつかのように私を挟んで二人の視線がぶつかり合う。


そこで予鈴が鳴った。
本鈴が鳴るまでに教室に入らないと遅刻扱いにされてしまう。私は放っておいたらいつまでも睨み合ってそうな先輩の裾を控えめに掴みつつ、先生に言った。

「大丈夫ですよ先生。魔法、効いてます。」
溶けてなくなった飴玉が乗っていた舌をだして先生に見せた。そして今日は私が先輩の手(というか、袖)をひいて歩いた。


「葵ちゃん」
後ろから呼ばれた。

「すいません、魔法とか先生に言って」
「ううん、別に。でも、なんか・・・」

先輩が足を止めたので、私も止まって先輩を見た。先輩は少し照れたように笑った。


「ちょっと嬉しい」


きゅーん、と鳴った。
何が?心臓が。


「先輩、」
「ん?」
「先輩が数学教えてくれて、本当に良かったです」

私も照れて笑った。



魔法、かかる
(ティッキーなにニヤニヤしてんのぉ?)
(や、別に?)
(またアレンたちからかって遊んでたんでしょぉ?)
(ちげーよ。ていうかロード、お前遅刻)



―――――

あれ、ティキぽん書くの下手くそになった(笑)



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