『玄関でまとう!』

「そうだね」

私たちは玄関に腰をかけてハルが帰ってくるのを待った、でもハルは夜になっても帰ってこない。もうこんな時間なのにと少し心配になる。さすがに真琴も心配になってくるようだった。

「…来ないね、ハル」

『うん、まだ気持ちの整理がついてないのかも知れない』

きっとすぐ帰ってくるよ、とまた真琴は微笑んだ。それを見て私は微笑んだあと真琴の頬をつねった

「え?!いひゃいよ…」

『ちょっと今無理したでしょ。無理して笑顔つくんなくていいんだからね』

私はそう言って手を離した。真琴は一瞬目を見開いて驚き今度は純粋な笑顔で微笑んだ。

「…あきがマネージャーやってくれて良かった」

『!?、い、いきなり照れるなぁ』

「本当だよ?たぶんあきがいなきゃ俺達はここまでやってこれなかったと思う」

『…でも、マネージャーらしいこと何一つできてないんだ。データだって全部コウに任せてばっかだし…。ダメダメだよ』

「そんなことない。前にも言ったでしょ?あきがそばに居てくれるだけでも頑張れるんだから」

『…この野郎…』

「ふえ!?なんでひゅねってんの!?(なんでつねってんの)」

ああ、もう。なんでこんなに照れるようなことをすらすら言えるんだこの人…。まあ友達としてということは十分分かっているつもりだけどこのド天然ボーイは本当にやばい。私は赤くなった顔をさますように手で仰いだ

『私だって、真琴が部長で良かったよ』

「え!?」

『真琴が部長じゃなかったら、あんなにみんなついてこないと思う。真琴だからこそついていこうって思うんだと思う。もちろん私もね』

ニッと笑えば真琴は照れるように微笑んだ。そこから世間話をしたり遊んだりしているといつのまにかに睡魔も襲ってくる。それほどハルの帰宅は遅い時間なのだ。…どこにいるんだろう。水にでも浮いて寝ているんだろうか…ありえる
自然とでた欠伸

「…寝ててもいいよ?」
『…大丈夫、私もしっかり待たなきゃ!』

そう言って意気込んだとき玄関のドアがガラリと開いた。そこには無表情だけど少し驚いたような顔をしているハルが立っていた。私はハルを見た瞬間立ち上がりハルに抱きついた

「…秋羅」

『よかった、無事で。水の上で寝てるのかなとか、もしくは事故でもあったんじゃないかって心配した』

「ごめん…いつもなら、水の上で考えれば答えが出るはずだった。でも今回は出なかった」

『ハル…』

「でも、あいつらの顔が浮かぶんだ、今日見た試合で懸命に泳ぐの姿が」

『…』

「だから俺は、誰かの為に泳いでみようと思った。秋羅が言ったように、自分の為じゃなく、誰かの為に泳いだら泳ぐ理由が見つかるかもしれない。」

「ハル…」

「泳ぐんだろ、リレー」


大きく見開いた目に、嬉しそうに微笑んでいた。


「ハルっ、ありがとう!!」

「…別に。俺が泳ぎたいと思っただけだ。」

「嬉しいよっ、」


それから真琴は皆に電話をしてリレーに出場することを伝えると、ここまで聞こえてくる歓喜の声、まだ三人は一緒に居たようだった。このチームでなら、地方大会へ行ける気がする、皆がトロフィーを持つ瞬間も夢じゃない。







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