/セカンド・デイ

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 the night

 作品は、バレエダンサーを夢見る少年が、しかし男に産まれたが故に周りになかなか理解を得れずそしてそれに経済的な問題も重なりバレエを続けて行く事が難しくなっていく・・話。
 なかなか複雑な当時のイギリス(時代は1980年代)の政治的背景も絡んだ、子供には難しいところもある話であったが、出演者の半分は子役で、それにコメディ的要素もあり大筋のストーリーは分かり易いものでありと、チビも身を乗り出して舞台に見入っていた。まさかのボックス席で俺たちも周りを気にせず真剣に鑑賞出来たし、何より夢に向かって決して情熱を捨てず邁進して行く少年の姿に、俺は自分もああいった少年時代を経て今夢を叶えた大人になっているんだということを改めて思い出させられて・・・・・・・・正直に言おう。感動したぜコンチクショウ。

 ほんのちょーーっと目尻が濡れたことを、黄瀬に盛大にからかわれながらの晩飯。ていうか知ってるんだぞ黄瀬お前が会場で一番泣いてただろうが。
 近場のてきとうなダイナーに入ってワンプレートのポークステーキセットを平らげ、タクシーを拾いに大通りまで出る途中、そろそろ眠気もやってきだしたらしいチビがゆっくりとした歩調になって黄瀬の手を取った。もう少しがんばろうね、と黄瀬がひどくやわらかな声で囁いている。チビはぽつりぽつりと眠気に漂いながら、舞台の感想をつたなくも真っ直ぐに述べていた。俺たちはそれを、ただ静かに聞いていた。
 右手でぎゅっと黄瀬の手を握ったチビが、反対の手を伸ばしてきて、そうしてふいに俺の手のひらをちょんちょんとノックする。無意識に近いらしいその所作に、俺はしっかりと応えるようにその小さな手を受け取ると、壊れないようにそっと、そっと握りしめた。


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