/セカンド・デイ

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 the twilight

 空も陰り出し、木陰の色も濃く深くなった頃、俺たちは公園を抜けブロードウェイへと到着していた。
 ここには本来、チビとそしてテツとさつきで来る予定であった。あいつらがNYに旅行に来るってなった時に、彼ら家族の希望を聞きブロードウェイのチケットを取ったのは黄瀬の奴だ。それがテツは急な仕事が入り、そしてさつきは研修の予定が入ってしまった。一度はキャンセルしようかとも思ったのだが、人気の演目では何ヶ月も前にチケットがソールドアウトするなど、結構入手が困難だったりする。ならば、そのチケットを折角、しかも良い席で購入出来たしと俺たちで出掛ける事にしたのだ。因みに、その"良い席"は黄瀬があらゆるツテを使って獲得したものだ。・・黄瀬の"ツテ"とやらは、いったいどこまで広がっているんだか。
 この眠らない街の象徴のネオンがきらびやかに輝き出している。暮れきってはいない空のもとで、すでに夜の様相をしたドアマンが俺たちに気付いてにこやかにした。上方の電光板には、"Billy Elliot"。数年前公開された映画をもとに舞台化された、比較的新しいナンバーだと黄瀬が言っていた。子供連れの定番といえば、ライオンキングやアニーなんかなんだろうが、ライオンキングは日本で一度観た事があるらしく、そして少女が主人公のアニーに対してビリー・エリオットは少年が主人公、ということでこの作品を選んだ。
 俺は舞台なんか普段観ることも触れることもない。歌ともダンスとも縁遠いし、正直興味も薄い。初めて見る本格的な劇場にワクワクと心躍らせているチビには悪いが、せいぜい寝ちまわないよう気を付けるか、と心地良い運動後の疲労感に一度伸びをした。



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