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新型機性能実験監視


タリビアでミッションを終えた、アレルヤ、ロックオン、ディーアの三人は再びソレスタルビーイングの隠れ家の南海の孤島に身を潜めていた。
隠れるに最適なこと孤島は、船舶や航空機の航路からも外れており、通信やレーダーを無効化するGN粒子やハイレベルな光学迷彩が、監視衛星からの直接視認を防いでいる。


タリビアのミッションが終了し、宇宙へあがったティエリアがプトレマイオスに到着して、
数刻後。プトレマイオスに乗る戦術予報士のスメラギ・李・ノリエガから、アレルヤ・ハプティズムとディーア・アルカディアにミッションプランが渡された。


「スメラギさんからミッションプランが届いたよ。モビルスーツ性能実験の監視。状況によっては破壊もあり得るって」


格納庫に設置されたレストルームにアレルヤとロックオンはいた。アレルヤは壁に身体を預けるロックオンに、今回請け負ったミッションについて話し始める。

今回のミッションがアレルヤとディーアに渡された理由は、二人の機体の運航速度が考慮されてのことだろう。
人格連の主要モビルスーツであるティエレンが開発されて以降、新型の開発に軍は予算を大きく使っていない。しかし、ソレスタルビーイングが現れてから数週間後に新型機の性能実験が行われる。

アレルヤはこの新型機は特別な何かがあると睨んでいた。
一体、それは……。


「今回もディーアと同じなんだろ?」


「どうした? 不安か?」携帯端末に表示されたミッションプランを見て黙ったアレルヤを見て、ロックオンはそう声をかけた。
アレルヤは首を横に振る。


「そういうわけじゃない。ただ、僕たちの行動が、新たな紛争の火種になる気がしてね」


アレルヤはそう言って、またこんなことを言ったらディーアに今更だと呆れられてしまうな、と心の中で苦笑を零した。


「警察の存在意義と同じだな」


警察は犯罪撲滅を目指し存在しているが、いざそれが成し遂げられると警察の存在儀が消失する。かといって、警察をすべて失くしてしまえば、犯罪は飛躍的に増大する。

「ハナから矛盾してるのさ。俺たちは」そう言ったロックオンの言葉には納得できる。自分たちは戦争をなくすために武力で介入するのだから。
アレルヤは「わかってるよ……」とポツリと答えた。


「気をつけろよアレルヤ……タリビアの一件以来、俺たちは世界の嫌われ者だからな」

「ご忠告、感謝しますよ」


ロックオンの忠告にアレルヤはそう答えた。
タリビア以前はソレスタルビーイングを評価する声もあったが、タリビアへの武力介入でその声は消え去った。彼らにとって、タリビアへの武力介入は不可解だったのだろう。


「……そういや、ディーアはどうした?」

「部屋で休んでますよ。まだ時間もあるし、疲れてるんだと思う」


姿の見えないディーアは、タリビアから帰ってくるとすぐさま部屋にこもった。休息をとるのは自由であるし、二人としてはこまめに休息をとってほしいと思っている。


「さすがのディーアも疲れたか」

「でしょうね。ミッションでというより、環境的問題のほうが多いと思うけど」


「ああ……」アレルヤに言われ、ロックオンは納得めいた声をあげ、ディーアと出会った当初の事を思いだした。

ソレスタルビーイングの実行部隊である自分たちは、ヴェーダに推薦されると宇宙にあるソレスタルビーイングの一部施設へあがった。ディーアはそこに、誰よりも早くいたと聞いたことがある。実際、自分でも「ずっとここにいた」と話していた。


「ディーアのこと見とけよ。ま、言う必要もなさそうだが」

「勿論ですよ。あまり無理をしてほしくないですから」

「お前なら、ディーアも安心だ」


アレルヤはクスリと微笑んだ。




△▽




「人格連、新型モビルスーツの監視」


数刻前に連絡が来たミッションプランを、ディーアはおうむ返しのように繰り返していた。長椅子に横たわり、白い天井を見つめる。

リニアトレインで宇宙に上がり、ミッションを終了したらそのままプトレマイオスに戻る。だから荷物をまとめるようにと言われたが、生憎、荷物と呼ぶほどのものはない。


「(やっと帰れる……此処じゃあ、息ができない……)」


眠るように目を閉じて、喉元を触れる。口から大きく息を吸い込み吐き出して、喉に空気が通る感覚を味わうが、やはり上手く息がすえていないように感じた。


「(まあいい……これで息が吸えるようになるのだから……)」


ディーアは今度こそ、眠るために瞼を下ろし、視界を遮断した。