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対外折衝


パイロットスーツに着替えたディーアは、ヘルメットをかぶり片手にハロを抱えて格納されたラズグリーズに乗り込む。
同じようにロックオン、アレルヤも各々のガンダムに乗り込んでいた。

コックピットのシートに身体を預けると、右手前にハロを設置させる。
すると三つのコンテナのハッチが開き、キュリオス、デュナメス、ラズグリーズが太陽の下に姿を現した。


「キュリオス、アレルヤ・ハプティズム。介入行動に入る」

「デュナメス、ロックオン・ストラトス。撃ちに行くぜ!」

「ラズグリーズ、ディーア・アルカディア。出撃する」


孤島から三機のガンダムが飛び去る。
青い空には三本のキラキラと輝く粒子の尾が引いた。




△▽




「ユニオンの艦隊とアメリカ第2艦隊が、タリビア近海に到着」

「ブラジルの駐屯基地からも航空兵力が出撃。タリビアの主要都市の制空権を掌握した模様です」


宇宙にいるプトレマイオスのブリッジで、フェルトとクリスがキーボードを叩きながらモニターを見つめ、状況をオペレートしていた。

「タリビア軍は?」スメラギが問う。
「3カ所の主要都市に陸上用モビルスーツ部隊を集結させています」クリスが答える。
「まさに一触即発だな」ラッセが前の席でそう言った。


「スメラギさん、どうするんです?」

「決まってるわ。わたしたちのやるべきことは一つよ」


リヒティの問いかけに、スメラギは前を見据えながら答えた。




△▽




デュナメス、キュリオス、ラズグリーズはタリビアの上空を飛んでいた。エクシアも同じようにタリビアへ向かい、海上を低空飛行して目標地点へ向かう。


『それぞれの担当に分散する。ディーア、合図は任した』

「ええ」


ディーアはロックオンの通信に応え、やがて四機はそれぞれミッション担当の主要都市に分散していく。
各々のガンダムがそれぞれの目標ポイントに到着したころ、ミッション通りの時間が表示された。


「予定時刻を通過。各機、ミッションスタート」

『了解』

『了解!』

『了解』


通信が切れる。

ミッションがスタートされた瞬間、ガンダムはタリビアに向かって武力介入を開始した。タリビアの兵たちは突然ガンダムから攻撃を受けて動揺する。まだ自分たちは手を出していないと。

しかし、ソレスタルビーイングの創設者、イオリア・シュヘンベルグの声明はこう告げた。戦争を幇助する国も武力介入の対象であると。


「タリビアを紛争幇助国と断定、目標を駆逐する!」


エクシアが近接戦闘でタリビアのモビルスーツを切り裂いていく。


「キュリオス、介入行動を開始する!」


キュリオスが飛行状態でタリビアの攻撃を悠々とかわし、モビルスーツに変形しタリビア軍を攻撃する。


「デュナメス、目標を狙い撃つ!」


デュナメスも飄々と攻撃をかわしながら銃を構え、タリビアのモビルスーツを次々と撃破していく。


「ラズグリーズ、介入行動開始。敵機に向かう」


ラズグリーズが上空で攻撃をかわしながら、どんどん距離を詰めて敵機を撃破していく。
ガンダムの圧倒的な力に、タリビア軍はなす術がない。

「人様のこと利用して、勝手しなさんな!」ロックオンが打ち抜きながら言った。
「しかし……これは一方的だ」アレルヤは憂い顔で呟く。


「人って、人を利用することにしか能がないのかしら」


ディーアは呟きは、薙ぎ払い切り裂いたモビルスーツの爆発音でかき消された。
やがてアメリカのモビルスーツ隊が発進された。予想された通りのタリビアの防衛行動だろう。ディーアは再び三機に通信を開く。


「アメリカのモビルスーツ隊が発進された。ミッション通り、安全圏へ離脱する」


『了解』刹那は完結に応え、通信を切る。
『りょーかい! お疲れさん』ロックオンが軽い調子で言う。
『指示をありがとう、ディーア』アレルヤが柔らかい笑みを浮かべる。


安全圏への離脱を開始し、一機方向の違うエクシアと別れ、ラズグリーズはデュナメスとキュリオスと共に飛行する。


『んじゃ、俺たちもさっさと戻るとするか。お前も疲れたろ、ディーア』

『帰ったら休むといいよ。指示も出して疲れただろう?』

「そんな軟じゃないわ」

『アレルヤも心配してんだよ。わかってやれって』

『口添えをどうも。なかなか聞いてくれませんからね、ディーアは』


ふふ、と笑うアレルヤに、二ッと笑うロックオンがモニターに映る。
ディーアは大きくため息を落とすとともに、気が緩んでヘルメット越しに笑みを浮かべた。


「まったく……なぜ過保護と世話焼きと一緒なのかしら……」