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介入行動開始


ガンダム4機が飛行している背後に、敵のモビルスーツの存在がある。
偵察と思われる機体が自分達を視認したことに気づいたロックオンは、他のガンダム3機に通信を入れる。


『敵さんが気づいたみたいだ。各機、ミッションプランに従って行動しろ。暗号回線は常時開けておけよ。ミス・スメラギからの変更プランが来る』

『了解』


ロックオンの言葉に全員が返事をし、各々のミッションを遂行すべく散開する。

ラズグリーズに与えられたミッションは、キュリオスと同じ方向で武力介入を行う事。それを終えたのちキュリオスと別れ、状況に応じてオペレーターから指示が送られる。

変形しているキュリオスの背に、ラズグリーズが乗る。そのまま移動をしていると、前方に敵飛行部隊が見えた。


「テッキセッキン! テッキセッキン!」


ラズグリーズに登場している白ハロが耳のようなものをパタパタとさせ、目を点滅させた。


「E332より敵飛行部隊を捕捉。介入行動を開始。ラズグリーズ、先行する」

『了解。まったく、スメラギさんの予測は……武力介入に入る』


飛行形態のキュリオスの背から飛び立ち、敵機にバーニアとスラスターを駆使して攻撃を回避しながら接近する。そのまま敵機の目の前まで飛んでいき、ビームサーベルの一撃で撃墜させた。
背後のキュリオスも飛行形態からモビルスーツ形態に変形し、ラズグリーズの援護に入る。

ガンダム2機の攻撃により、敵のモビルスーツは散開していく。
それに続いて、ラズグリーズとキュリオスに通信が入る。


『敵機編隊の撃破を確認。キュリオス、ミッションプランに変更なし』

『了解。介入行動を続ける』

『ラズグリーズ、ミッションプランC3に変更」

「了解。プランC3に移行する」


フェルトからの通信に応えると、一時的に通信は切れる。回線はひらいているため、いつでも通信が入る。

プランC3は、エクシアとデュナメスの方向と同じだ。
ミッションに移行するために飛び立つ前に、キュリオスから通信が入る。


『ディーア、気を付けて』

「……了解」


言葉も声色も素っ気なかったが、アレルヤは返事を返してくれたのが嬉しく、ヘルメット越しにわずかに口端が上がって目元を和らげたのが見える。

通信を切り、ディーアは操縦桿を前に倒してエクシアとデュナメスの元へ向かった。




△▽




エクシアとデュナメスの元までたどり着いたラズグリーズは、そのままプラン通りに武力介入を続行していた。
何機ものモビルスーツを撃破していると、突然ロックオンの驚きの声が通信越しに聞こえる。『刹那!?』という言葉が聞こえ、ディーアもエクシアのほうに目を向ける。


「なッ、刹那!? 何をして、計画が乱れる……!」


刹那はコックピットから姿を現していた。パイロットの秘匿はSレベルだ。太陽炉と同じく、この秘匿は厳重に保護する必要がある。それを刹那が破った。
敵機のパイロットもコクピットから出て来て、メットまで取っていた。
彼らはお互いに銃を向け合っている。

デュナメスが攻撃を仕掛けようとしている事を確認して、ラズグリーズのスピードを速める。

デュナメスが威嚇の意味を込めてGNスナイパーライフルを放つ。それで敵機が離れた事を確認し、勢いを生かしたままラズグリーズで突撃をする。だが攻撃は避けられた。


「なッ、避けられた!?」


サーベルが少し掠っただけで、イナクトが体勢を崩した。
ラズグリーズに続いてデュナメスがGNスナイパーライフルを撃っていたが、あたる事はなかった。


「ロックオンの狙撃からも逃げるなんて」


なんてパイロット。
ロックオンの狙撃の名人と言っても良いほどの能力がある。ラズグリーズも高高度のスピードの持ち主だ。


『刹那!』

『事情は後で聞かせてもらうわ。ミッション、続けられるわね?』

『了解』


ロックオンが即座に刹那に通信を開いた直後、スメラギからの通信が入り言葉をかぶせられる。刹那は普段通りの声色でミッション続行に応えた。


『フェイズ5まですっ飛ばして、フェイズ6から続行。デュナメスとラズグリーズはそのままエクシアのサポートをお願い。キュリオスとヴァーチェにも同様の指示を』


スメラギの言葉に、それぞれが「了解」と告げる。




△▽




狭い渓谷のあいだを五機のガンダムが飛行する。先頭からキュリオス、デュナメス、ラズグリーズ、ヴァーチェ、エクシアとそれぞれが続いた。


『まったく、こんなルートを通らせるなんて』

『ぼやくなよ。敵さんは電波障害が起こっているポイントを重点的に狙ってる。隠密行動で一気に頭をたたくのさ』


通信を通してアレルヤとロックオンの会話が聞こえてくる。
ちょうどラズグリーズの前を飛ぶデュナメスとその前を行くキュリオスを見やる。


『頼んだぜ、水先案内人!』


ロックオンが明るい声色でそう言うと、先頭を飛ぶキュリオスが岩肌に掠める。岩塊がすぐ後ろにいるデュナメスに当たりそうになった。もちろん、デュナメスの背後を飛ぶラズグリーズにも被害は及ぶ。


『危ねぇな、おい!』

『ヘタッピ! ヘタッピ!』

『ドンマイ』

『そりゃこっちのセリフだ!』


デュナメスが岩塊を避ける。その拍子で岩塊がラズグリーズの面前を飛んできて、ディーアは操縦桿を操って間一髪で岩塊を避けた。


「ちょっとロックオン、急に避けないでくれ。ラズグリーズに当たる」

『悪い、ディーア……って、今のはアレルヤのせいだろ!』

「知るか、そんなこと」

『お、お前……』


一刀両断するディーアに、ロックオンは何とも言えなくなる。
すると今度は、二人の通信を聞いていたアレルヤが口を開いた。


『ディーア、すまない。怪我はないかい?』

「この程度で私がミスをするはずがないでしょ」

『ふふ、そうだね』

『おまえらなあ……!』


少しだけ怒気の含んだロックオンの声色が通信越しに響く。それに対して、アレルヤは控えめに笑い、ディーアは少しだけ口端をあげた。

そんなことをしていると、とうとう目的地までたどり着く。モラリア軍司令部に五機が到着したところで、ラストフェイズへ移行した。


『ヴァーチェ、目標を破砕する』

『デュナメス、目標を狙い撃つ!』

『キュリオス、介入行動に入る』

『エクシア、目標を駆逐する』

「ラズグリーズ、武力介入を開始する」


迫り来る敵機をそれぞれが撃墜する。敵機は性能が格上のガンダムに成すすべがなく、彼らの力に圧倒され、五分もかからずに敵機全てを撃墜した。


『敵部隊、反応なし』

『まだやるか? それとも……』


ロックオンがアレルヤの後に言う。緊迫した空気が漂う中、ティエリアが『いや』と呟く。
直後に一発の信号弾があがった。


「降伏の合図」

「コウフク! コウフク!」

『ハロ、ミス・スメラギに報告!敵部隊の白旗確認!ミッション終了!』

『リョウカイ! リョウカイ!』


ミッションが終了した。