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15


街の浄化作業が終わったころ、魔法使いたちは中央の城へと集まった。そこにはアーサーやオズ、スノウやホワイト、そして賢者が揃っており、改めて今日、叙任式を行うことを知らせた。魔法使いたちはそれを聞き喜ぶものもいれば面倒くさそうにするものもいたが、その表情は柔らかかった。

再び叙任式を行うために少しばかり時間を用いるため、それまでを休憩時間とした。
その間、ターリアはスノウ、ホワイト、オズ、フィガロ、賢者と共にいた。そこでターリアは、先ほど判明した自分の厄災の奇妙な傷について打ち明ける。


「ええっ!? 仮死状態!?」
「なんと!」
「それは、なんとまあ・・・・・・」
「・・・・・・」
「ほんと、俺の心臓の方が止まるとこだったよ」


フィガロの説明を受けながら先ほどのことを報告すれば、それぞれの反応が返ってくる。賢者は顔を顔を青くし、双子は災難だと言わんばかりな表情を浮かべ、オズは無言で眉間にしわを寄せた。「本当、厄介な傷を負ったものだわ」ターリア自身も至極嫌そうに肩を落とした。

「しかもそれだけじゃない。何故か魔力耐性も失くしてたんだ」フィガロの言葉を聞くと、オズは「・・・・・・大丈夫なのか」と再び視線を向けた。「ええ、今のところ」なんともないと答えれば、オズはほっと安心する。

「ふむ・・・・・・なるほどのう」スノウはどこか理由が分かったようにうなずき、ホワイトも「傷の本質は、おそらくそちらじゃろう」と納得したように言った。
どういう事だとオズが尋ねれば、双子は語りだす。


「ターリアは遥か昔に、その身に呪いを負った。それを我らが解いたのじゃが・・・・・・」
「呪いの効力が永く効きすぎてのう・・・・・・完全に身体から呪いを除去することができなかったのじゃ」


え、と声を上げたのは賢者だった。呪いというものがこの世界でがどういったものなのか分からないが、大丈夫なのだろうかとターリアを盗み見た。それはフィガロやオズも同じで、それぞれがターリアを一瞥する。


「おそらく夜になり、魔力耐性を失くしたことで、呪いが再発したのじゃ」
「抑え込んでいた呪いが再発したことで、ターリアの時が止まったのじゃろう」


「そうなの、ターリア」とフィガロが視線を送る。「そうなのか、ターリア」続いてオズも同じように視線を送った。

ふたりはターリアが以前に呪われていたことは少し聞き及んでいたが、未だ呪いが完全に解かれていないことは知らなかった。問いかけられたターリアは、視線を逸らしながら、うんざりしたようにうなずいた。


「最悪ね。まさか今になって、またこの呪いに苛まれることになるなんて」
「残念じゃが、そなたはその呪いから逃れることはできん」
「一生、その呪いを背負って生きねばならない」
「わかっているわよ、スノウ、ホワイト」


聞きなれた言葉に、ターリアは少し鬱陶しそうにしながらも頷いた。

重たい空気に包まれる予感がしたが、それはフィガロの言葉で裏切られた。「はは、4人とも大変だね。ねえ、賢者様」突然話を振られ、賢者はどう答えていいのか分からず苦笑だけ浮かべた。「むむっ!」双子は口をそろえてムッと頬を膨らませた。「フィガロだけ傷が無いなんて、腹が立つわねオズ」ニッコリ笑いながらオズに投げかけるターリアに「ああ」と素直にうなずくオズ。

賢者は、いつのまにか賑やかな空気になっている4人を呆然と眺めた。気にした様子もなく、楽しそうに会話をする彼らを見て、賢者もつられて笑みを零した。