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06


パーティーが終わると、賢者と魔法使いたちは城にそれぞれ用意された個室に案内され、各々が部屋へと退散していった。ターリアもそのひとりで、自分にあてがわれた部屋へ向かっていると、後ろからお声をかけられる。

「おい、ターリア!」声をかけてきたのはブラッドリーだった。「あら、ブラッドリー。どうしたの」と聞けば「お前にやる」と、持っていたものを無理やり押し付けられる。押し付けるとブラッドリーは早々に立ち去ってしまい、ターリアは押し付けられた額縁をもって立ち尽くした。


「ターリア」
「ターリアよ」


手もとからスノウとホワイトの声が聞こえた。ふと手に持った額縁を見下ろしてみると、目を丸くした。


「・・・・・・・・・・・・え?」


なに、これ・・・・・・。

スノウとホワイトが描かれた絵画からは二人の声がして、呼びかけてくる。おまけに二人の魔力も伝わってくる。双子の悪戯かとも思ったが、これは双子にとって不便すぎるし、違うだろう。ターリアは困惑した表情で絵画を見下ろした。


「うむ、無理のない反応じゃ」
「我らも最初はこの事態に困惑した、無理もない」


スノウとホワイトの絵から、困った声色が聞こえる。


「・・・・・・それで、これは一体どういう状況かしら」


ターリアが問いかけると、スノウとホワイトは魔法使いたちに起こった不思議な現象について話し始めた。


「どうやら生き残った賢者の魔法使いたちはみな、奇妙な傷を負ってしまったようじゃ」
「奇妙な傷?」
「<大いなる厄災>に近づきすぎた結果じゃ。みな厄災の奇妙な傷を負っていると考えてよい」
「・・・・・・」


話によると、<大いなる厄災>に接近しすぎたことにより、生き残った魔法使いたちも知らず知らずのうちに見えない傷を負ってしまったという。スノウとホワイトは絵の中に閉じ込められ、カインは触れないと相手の姿が見えず、シャイロックは心臓が燃えたという。それぞれに特有の現象が起きているみたいだ。


「ターリア、お主も傷を負っているはずじゃ」
「何か身体の異変はないか?」


生き残った者たちであるならば、生存者であるターリアにも傷があるはずだ。ターリアは少し考えてみるが、身体の異変は特に感じられない。思い当たらず、首を横に振った。


「そうか。いずれにせよ、そなたも気を付けるのじゃぞ」
「いつ発症し、どう発症するかもわからぬ。気を付けるのじゃぞ」
「ええ、肝に銘じておくわ」


ふたりからの警告に頷き、頭の隅に置いておく。
取り合えず、絵に閉じ込められ動けないスノウとホワイトを放っておくこともできないため、ターリアは一旦自分の部屋に持っていくことにした。