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「#エロ」のBL小説を読む
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06


「よーし、特訓は終わり! さ、行こうぜ!」
「え、わっ!」
「おい、今日の課題はまだ・・・・・・はぁ」


カリムに手を掴まれそのまま連れ去られる。背後ではジャミルがため息をついたが、その姿ももう見えない。カリムはスカラビア寮をくまなく夜月たち案内した。「この寮、どこ観ても金ピカで豪華で・・・・・・オンボロ寮とは大違いなんだゾ」グリムの言う通り、目に映るものほとんどが黄金で宝石もはめ込まれている。「そんなに驚くほどか?」それにカリムが首を傾げた。「とーちゃんが学園に少し寄付して寮を綺麗に改装させたって言ったけど・・・・・・」


「どんだけ大金持ちなんだゾ! オメー、もしかして、レオナと同じ王子様か!?」
「アジーム家は王族じゃないから、オレは王子じゃないぜ。親戚筋には王族もいるけどな」


「アジーム? アルアジームじゃないんですか?」夜月の疑問にカリムは丁寧に答えた。「熱砂の国の古い言葉で『アル』は『息子』を意味するんだ」風習として、家を興した祖先の名前を家名にして、以降生まれた男児は全員『その息子』と名乗ることがあるらしい。「オレの場合、カリム・アルアジームは『アジームさん家の息子カリムくん』って意味になるな」カリムの話を聞き「へぇ・・・・・・」と夜月は感嘆を零す。「名前の由来なんて考えたこともなかったんだゾ」この学園には、いろいろな国の出身の生徒がいるんだなあと改めて思う。


「いつか熱砂の国のオレんちにも遊びに来いよ! めいっぱいもてなすぜ」
「そうですね、いつか行ってみたいです」
「お城みたいな大豪邸に住んでそうなんだゾ」


「そうでもないぜ。召使も100人くらいしかいないし」カリムには30人以上の兄妹がいるらしく、召使がいてくれないと面倒が見切れないという。相当な大家族だ。いくら大富豪とはいえ、王族でもあまりない兄弟の数じゃないだろうか。ジャミルの両親もカリムの家の召使らしく、だからジャミルは小さい頃からカリムのお世話係をしてもらっているらしい。


「ジャミルはスゲーヤツなんだ。頭もいいし、気も利くし、なにより料理がスゲー上手い!」
「確かに、さっきの料理はスゲー美味かったんだゾ」
「だろ? じゃあ今日は夕食も食べていけよ! なっ!」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・・・・」


ジャミルのこと嬉しそうに話すカリムに押され、思わずうなずいてしまった。「なんかコイツとしゃべってると調子が狂うんだゾ」コソコソとカリムを盗み見てグリムが耳打ちする。「今までにいなかったタイプの人だもんね・・・・・・」夜月もグリムに耳打ちした。「この学園では珍しいんだゾ」全くその通りだ。


「おーい、お前ら。なにコソコソしてるんだ? こっち来いよ」


夜月とグリムはカリムに呼ばれ、彼が手招きした部屋に足を踏み入れた。