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009


「却下だ」
「で、ですよね・・・・・・」
「そんな即答しなくても・・・・・・」


サバナクロー寮に来てレオナに事情を放すと、速攻てお断りをされる。「ウチの寮はペットの持ち込みも禁止してる。毛が落ちるからな」と付け足したレオナに「嘘つけ〜! お前らのほうがオレ様よりよほど毛がフサフサしてるじゃねぇか!」と異議を唱える。毛のフサフサ加減はどっちもどっちな気がする。「それはそれ、これはこれッス」続いてラギーが言った。「だいたいな、空き部屋の掃除何か何か月もしてねぇし、寮生どものガラクタ置き場になってんだろ。2匹もどこに置いとくつもりだ」と続けたレオナ。すると「・・・・・・あ、そうだ」とラギーをあることを思いつく。


「コイツら、レオナさんの部屋に置いとけばいいじゃないスか」
「え?」
「「「はあ!!?」」」


「おい、ラギー。言葉は慎重に選べよ」レオナはラギーを睨みつける。「だって、レオナさんは部屋に召使がいるのとか慣れっこでしょ?」ラギーは宿代代わりに身の回りのお世話を全部そいつらにやらせればお互いWin-Winだ。ラギーは自分の仕事を押し付ける絶好のチャンスとでも言うように得意げに言った。


「それで宿代にしてくれるなら、やりますけど」
「ガルル・・・・・・ラギー、テメェ・・・・・・」


不満げに唸るレオナにラギーはわざとらしく「いやぁ〜、オレ、まだ寮対抗マジフト大会の時の傷がいえ切ってないんスよね〜」と声を上げた。「なにせ、レオナさんのために命張っちゃいましたから」これ見よがしに続けたラギー。「・・・・・・チッ、小賢しい野郎だなテメェは」睨んだレオナに「やだな、嘘じゃないッスよ。シシシッ!」ラギーは答える。


「レオナ先輩、頼みます! コイツらを3日間だけでも泊めさせてください!」
「だから、ダメなものはダメッつってんだろ」


それでもレオナは了承しなかった。引けとらずジャックは熱心にレオナに頼み込むが、そのたびレオナは突っぱねる。ラギーはその様子を傍観している。


「・・・・・・あの、無理そうなら大丈夫です」
「え?」
「「は?」」


ラギーとレオナそしてジャックが素っ頓狂な声をこぼした。「無理言ってごめんなさい。私なら大丈夫なので」遠慮する夜月に「何言ってんだんだ!」とジャックは最初に声を上げた。「オレ様、野宿は嫌なんだゾ〜!」と訴えるグリムに文句言わないのと宥める。「お前、此処出てったら野宿になっちまうだろ」ジャックが心配げに言う。「まあなんとかなるよ、きっと。キャンプだと思えば楽しそうだしね。それに、植物園なら屋根もあってそれりに温かいし」心配するジャックに大丈夫だよと言って夜月は笑う。


「悪い・・・・・・力になってやれなくて・・・・・・」
「そんなことないよ。ありがとうね、ジャック」
「・・・・・・」


肩を落とし、耳はペタンとして尻尾は下に下がった。明らかに落ち込んでしまったジャック。耳や尻尾を下げた姿がなんだかかわいくて、夜月は背伸びをして伏せてしまった耳のあたり撫でた。
その様子をレオナとラギーは少し遠くで眺めていた。


「・・・・・・冗談もここまでにして。本当にいいんスか、レオナさん」
「あン?」


「こんな夜中の寒空の下、3日間も放りだして」2人を眺めながらラギーは頭の後ろで手を組んで言った。「この学園の中で唯一のおんなのこをひとり野宿させるなんて、野獣の中に野放しさせるようなもんッスよ」夜月の事情を知っているからこそ、ラギーはレオナにそう続けた。「しかも、レオナさんはヨヅキくんに借りがあるでしょ? いいんスか、そんな無責任なことしちゃって」あのオーバーブロットをしてしまった際のことを言っているのだろう。正気に戻った後、レオナも少なからず魔法も使えず女の夜月を巻き込んだこと気にしていた。
「レオナ先輩、お願いします。このままじゃアイツら本当に野宿になっちまう・・・・・・」再びジャックがレオナに頼み込んできた。夜月に目を向けると、野宿は嫌だとグリムを説得していた。


「チッ・・・・・・あー、くそ。わかった・・・・・・3日間だけなら泊めてやる」


頭をガシガシかいて、レオナは言った。グリムと夜月は目を丸くしてレオナを見て「いいんですか・・・・・・?」と尋ねる。「少しでも騒がしくしやがったら3日経ってなくても即座に外に放りだす、わかったな」レオナはそうくぎを刺し、夜月とグリムは首を縦に振って頷く。「とりあえず野宿は免れたんだゾ」喜ぶグリム。「ありがとうございます、レオナさん。助かりました」夜月もよかったとお礼を言った。


「んじゃ、ジャックくんは余ってる布団をレオナさんの部屋に運んでやって」
「了解っス」
「シシシッ! これで3日間の雑用が減るッスね」


「ったく、あの野郎・・・・・・聞こえてんだよ。あとで覚悟しとけ」本音をこぼしたラギーに向かって、レオナは睨みつけながら零した。


「オラ、草食動物ども。ついて来い、ちんたらすんな」


顎で来いと指示され、レオナの後をついてく。ジャックやラギーに布団などを用意してもらい、レオナの部屋の隅にクッションを貸してもらって布団を置く。「さて、俺はもう寝るが・・・・・・オレの眠りを妨げたら平たく伸ばして食ってやるからな」グルルと唸り、横になったレオナはすぐさま寝息を立て始める。「さ、3秒で寝たんだゾ」グリムが小声で言った。「起こさないように、私たちも寝よう」夜月たちも布団に包まり、小さく丸まってその日は眠りについた。