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xix


ジャックと夜月たちと別れ、エースとデュースはハーツラビュル寮へと向かって歩いていた。2人とも無言で歩いていく。頭の中を駆け巡るのは先ほど知った、夜月が女だったという事実。女と知ってしまった以上、これから先どう付き合っていけばいいのか。そう接していけばいいのか。そんなことを悶々と考えていた。その時、ふとエースが思う。


「なあ、俺たちも気づかなかったんだし、寮長たちもヨヅキが女だって気づいてねえよな?」
「た、確かに・・・・・・そんな素振りもしていなかったしな・・・・・・」


2人は複雑な神妙な顔をして目を合わせた。

ハーツラビュル寮に戻ると談話室にはちょうど良くリドルやトレイ、ケイトがソファに座って談笑していた。2人が返ってきたことに気づき、トレイとケイトがお帰りと声をかける。2人は再び目を見合わせ、口を開いた。


「あ、あの! 3人に聞きたいことがあるんですが」
「ん? なんだい?」


デュースの言葉にリドルが答えた。突然の申し出にトレイやケイト、リドルも不思議そうな顔をして2人を見詰める。


「あー、その・・・・・・3人は、ヨヅキが女だってこと気づいてました?」
「「「・・・・・・」」」


口を開け、硬直した3人。するとたちまちリドルが顔を湯気が出そうなほど真っ赤に染めあげ声にならない叫びをあげソファから立ち上がった。「で、ですよね!」「だ、だよなぁ〜!」その様子を見てデュースとエースは安心して声を上げる。気づかなかったのは自分たちだけではないと。


「なっ・・・・・・な、なにを言って・・・・・・っ!! おんっ、じょせ・・・・・・っ!」
「えー、マジで? やっぱけーくんの見立ては正しかったかあ」
「こら2人とも。ヨヅキが隠していることをそう簡単に口外するな」


顔を赤らめ口をぱくぱくするリドルとは対照的に、ケイトとトレイはやっぱりなあ等という。「えっ!? 2人は気づいてたんですか!?」デュースが目を見開いた。「んー、オレはそうかなぁってぐらいで、確信はしてなかったけどねぇ」ケイトは首に手を当ててそんなことを言う。「俺もそうだな。でも女の子だろうな、とは思ってたが」トレイも同意する。エースとデュースはそんな2人に口を開けた。するとゆらゆらとリドルが1歩2歩と歩み寄って声を張り上げる。「2人とも・・・・・・詳しくその話をしろ。これは寮長命令だ!」

リドルの言葉により、エースとデュースは保健室で夜月から話されたことを穴のないようすべて話して説明た。それを聞き、トレイは納得したように顎に指を添えた。


「確かに、ここは男子校だ。身を守るって意味でも、男装をするのは正しい選択だと思う」
「そうだねー。男だらけのところに女の子ひとり入るなんて、オオカミの群れにヒツジを入れるようなものだし。その気はなかったとしても、隠すのは当然じゃない?」


トレイの言い分にケイトも同意する。それを聞き、確かにそうだよなとエースとデュースも思う。一番付き合いの長い友人として自分たちだけにでも話してほしかったという気持ちがあったが、トレイとケイトの話を聞いて納得せざるを得なかった。

ふと、視線をリドルに向けた。リドルはふるふると肩を震わせ、顔をうつ向かせていた。黙り込んでしまったリドルに気づき、トレイが声をかけたその時だった。


「ぼ、ボクはなんてことを・・・・・・っ! 女性である彼女を男と間違えるなんて・・・・・・ッ!!」
「えぇ〜〜、そこまでえ〜〜!?」
「リドル落ち着け!」


ドンッとテーブルに拳をぶつけるリドル。まさかそこまでの反応をされるとは思ってもいなく、4人は目を見開いて驚いた。リドルはどうすれば、と動揺していた。


「すぐに謝らなければ・・・・・・今すぐオンボロ寮へ行くぞ、全員だ!」
「い、今からですか!?」
「ちょっとちょっとリドルくん、落ち着いてー?」


すぐに謝罪しに行こうとするリドルを慌てて止める。エースやデュースに至っては、自分たちより動揺するリドルの姿を見て逆に冷静になってた。「リドル、もう夜も遅いしあいつも寝ているはずだ。出向くなら明日にしよう」トレイの鶴の一声でリドルも「そ、そうか。そうだな・・・・・・夜分遅くに女性の所に訪ねるのはマナー違反か・・・・・・」と納得し、なんとかその場を乗り切る。

再びソファに腰を下ろしたリドルは平然を取り繕うとするが、徐々に頭を抱える体勢になっていった。そんなリドルを見てトレイやケイトは苦笑いをし、エースやデュースはどっと疲れてソファにもたれかかった。