×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -






18


避難していたハーツラビュル寮生も戻ってお片付けに参加してくれたため、大方は片付けられた。まだ細々とした傷は残っているが、とりあえずはいいだろう。片付けにひとだんらくついたところで、ケイトに話しかけられる。「お疲れさま〜、ヨヅキちゃん」というケイトに「お疲れ様です」と笑い返す。


「片付けも済んだことだし、怪我の手当てしてきなよ。ウチの寮に救急セットあるから」
「いや、本当に大丈夫で・・・・・・」
「いいからいいから」


「ヨヅキちゃん顔かわいいんだから、怪我には気を付けないとね」ウィンクを携えて調子よく言うケイトに、夜月は苦笑する。するとケイトはたまたま近くにいたデュースを呼ぶ。声に気づいたデュースが「なんですか?」と歩み寄る。

「ヨヅキちゃんを寮に連れてって怪我の手当てしてくれない?」救急セットがある場所わかるよね、と続けるケイト。それを聞き、デュースは慌てた様子で夜月の両肩を掴みかかった。「お前! やっぱり怪我してるじゃないか!」早く手当てするぞ、とグイグイと手を引っ張ってデュースはハーツラビュル寮に向かう。引っ張られるなか背後を振り向くと、ケイトが「いってらっしゃ〜い」と手を振って送り出していたのが見えた。



◇ ◆ ◇



寮に連れてこられた夜月は、デュースに座っているよう言われ談話室のソファに腰を下ろした。しばらくすると救急セットを持ってデュースが戻ってくる。ソファの近くに置いてあったテーブルに救急セットを広げ、消毒や包帯などを準備する。
デュースに怪我をしたところを見せてくれと言われ、痛めたほうの手を差し出した。


「打撲したみたいだな」
「うん、あまり痛くはないんだけど」
「後々痛みが出てくるはずだ」


デュースは打撲した部分に湿布を張って包帯で固定する。ついでにあちこちにできた擦り傷にも消毒をしてもらった。手際のいいデュースに「慣れてるね」と言うと「まあ・・・・・・喧嘩ばかりで怪我もしょっちゅうしてたしな」と苦笑する。不良時代は喧嘩ばかりしていたと言っていたし、自分で怪我の手当てをしてたのだろう。
「これでよし」綺麗に包帯を巻いて、キュッと縛る。他に痛いところはあるかと膝をついた状態で聞くデュースに、夜月は首を振る。


「ありがとう、デュース」
「っ!」


微笑む夜月にデュースは一瞬ドキリとした。大きく心臓が高鳴って、思わず片手で胸元を掴んだ。徐々に体中の体温が上がっていく。「・・・・・・?」自分でも訳が分からず、頭の中にハテナが無数に浮かび上がる。
不思議に思った夜月が「デュース?」と名前を呼ぶ。それにハッとなった。


「な、なんでもないっ!!」
「そ、そう・・・・・・?」
「本当に、なんでもないからなっ!」
「う、うん・・・・・・わかった」


慌てるデュースはそのまま救急セットを素早く片付け駆け足で立ち去っていく。そんなデュースに疑問を思いながら、夜月は立ち去って行ったほうを見つめていた。