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16


目を開けた時、リドルは黒く染まっていた。禍々しいオーラを出して、こちらを睨みつけている。彼の背後には黒いもやを纏った大きな怪物が姿を現していた。


「ボクの世界ではボクこそが法律、ボクこそが世界のルールだ!」


「ボクに逆らうやつらはみんな首をはねてやる! アハハハ!!」リドルはそういって高笑いをする。此処にいた全員が、変わり果てたリドルを見て呆然とした。


「ああ、なんてことだ! 私がついていながら生徒をオーバーブロットさせてしまうなんて!」
「オーバーブロットってなんなんだゾ!?」


グリムの疑問にクロウリーが手短に伝える。オーバーブロットとは、魔法士が一番避けねばならない状態だという。リドルは今、負のエネルギーにとらわれて感情と魔力のコントロールを失っている。いわば暴走状態ということだ。ケイトが平たく言うと闇落ちバーサーカーだと言った。このまま放っておくと命の危険にもつながるという。「とにかく生徒の命が最優先事項です。君たちは他の要因と寮長たちに応援を要請して・・・・・・」


「だらああ! くらえ!!!」
「「「「えっ!?」」」」
「いでよ! 大釜!」
「ふな”〜〜〜っ!!」


クロウリーの言葉を無視し、エースがまず攻撃し。デュースが大釜を出現させ。グリムが青い炎を放った。思わず夜月やトレイ、ケイトにクロウリーは目を丸くする。「エース、デュース! それにグリムまで!!」最初に我に返った夜月が慌てて声を上げる。「ちょちょちょ、お前ら何やってんの!?」続いてケイトまで顔をギョッとさせた。


「アイツ、あのままじゃ大変なことになっちまうんだゾ!」
「さすがにそこまで行くと寝覚めが悪い、それに・・・・・・」
「まだ『ボクが間違ってました、ごめんなさい』って言わせてねーし!」


こんな状況になってまで、エースはそんなことを言う。あくまでリドルのためではなく、自分のために。「・・・・・・わかった! 少しの時間なら俺がリドルの魔法を上書きできる」3人の言葉を聞いてトレイは決意を固め、肯定した。


「その間に、頼む! 学園長、寮生たちの非難を頼みます」
「君たち待ちなさい! 危険です!」
「そーだよ! トレイくんまで何いってんの?」


ケイトもクロウリーもトレイの言葉に驚きを示す。「正気に戻すのに手っ取り早い方法は、これしか思いつかないな」デュースがリドルを見ながらつぶやいた。「あぁ、あいつを失うわけにはいかない。俺は・・・・・・あいつに伝えなきゃいけないことがあるから」トレイがそれに頷く。「・・・・・・あ〜、くそ! わかりましたよ。こういうの柄じゃないんですけどねー、ホント!」ケイトは友人を放っておけることもできず、仕方がないと言ってマジカルペンを取り出した。

「ヨヅキ! 言っとくけど、お前もだかんな!」呆然と彼らのことを見ていた夜月にエースは指さす。「ドワーフ鉱山の時みたいに頼む! お前の指示と作戦があれば、いける!」続けてデュースが自信ありげに言った。「・・・・・・あぁ、もう。わかったよ・・・・・・!」私、魔法使えないのに。心の中でぼやく。「生徒を非難させたら私もすぐに戻りますから! それまで耐えてください!」クロウリーも仕方ないとつぶやき、急いで生徒の非難に向かった。

「どいつもこいつも良い度胸がおありだね・・・・・・みんなまとめて、首をはねてやる!」立ち向かおうとする彼らを見て、リドルは怪しく口端を上げた。


「このままじゃリドルの体が危ない。手遅れになる前に止めないと」
「はい。彼のためにも、早く止めましょう」
「悪い・・・・・・魔法も使えないのに、巻き込んで」


トレイは本当に申し訳ないと、眉尻を下げて夜月を見下ろした。思いつめるトレイに夜月はおちゃらけた様子で「終わったら、私にタルトを作ってください」と口にする。「え?」思わずトレイは目を丸くする。「いいでしょう?」首をかしげて微笑む夜月に呆気にとられ、トレイも思わず笑みを浮かべて頷いた。


「それじゃあ頼む、ヨヅキ!」
「はい!」