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XIII


「はぁ〜・・・・・・退学免除・・・・・・力が抜けた」
「やれやれだねー」
「よかったね、みんな」


学園長室を出た4人は寮に向かうため、廊下を歩く。入学を認められたグリムは嬉しそうに鼻歌を歌い、クルクル踊っている。あんなに入りたがっていたのだ。嬉しいに決まっている。


「明日からは同級生だな。ヨヅキ、グリム」
「よろしくね。デュース、エース」
「改めてそういうの、ハズいからやめない?」
「そうだな、これからは嫌でも毎日顔を合わせるだろう」


そうだね、と笑みをこぼす。これから先、どうなるのかはわからない。不安も大きい。けれどこうして気さくに話せる友人もできて、本当に良かったと心から思う。エースとデュースは同じ寮生らしく、毎日顔を見るのかとため息を落とした。


「んじゃ。また明日ね、ヨヅキ」
「うん、また明日」


夜月は寮に戻るために鏡を通る必要はない。エースとデュースと途中で別れ、また明日と言って手を振った。「オレ様たちも寮に帰るんだゾ」そういったグリムを見下ろしたとき、夜月はあることに気づく。今ならまだ間に合うかもしれない。夜月はグリムに先に戻るよう伝え、一人来た道を引き返した。

再び学園長室までやってきて扉をノックする。一言言って中に入り、クロウリーと向き合う。「どうしたんです? まだなにかありましたか?」そう問いかけるクロウリーに夜月は口を開いた。


「やっぱり男子校ですし、男装はしたほうが良いですか?」
「え?」


目を丸くして、夜月を見た。しばらく、長い沈黙が続いた。夜月は此処に連れてこられた時はローブを着ていたが、着替えがないということで此処の制服を身にまとっていた。男子制服のもので、意識して男装しているわけではなかった。それを聞くと、まさか気づいていなかったのか、クロウリーは言葉を詰まらせた。


「え、えぇっと、それはあなたにお任せします。しかし男子制服しかないので・・・・・・」
「・・・・・・気づいてませんでしたよね、その様子」
「い、いえ!? 気づいてましたとも!」


クロウリーは誤魔化すように笑った。そんなに男に見えるだろうか。夜月は複雑な気持ちになる。じとりとみてくる夜月にクロウリーは逃げるように咳払いをする。


「ごほん。えー、貴女の事情などは教員には話しておきます。何かあれば気兼ねなく話してください」
「わかりました」


用はそれだけだと告げ部屋を出ようとする。「あ、必需品も取り揃えておきますね。女性は大変でしょう。私、優しいので」その言葉に一礼して部屋を出る。女だと知った途端、どこか態度が変わった気がしたのは気のせいだろうか。

夜月は自分の姿を見下ろす。制服は男子のものしかないが、男装をするかどうかは自分で決めていいと言った。


「・・・・・・このままでいいか」


男装するのはそれで大変そうだし、かといって女の子のようにかわいい恰好をしたいわけでもない。夜月はこのままの姿で学園生活を過ごすことを決め、足早にオンボロ寮へと向かった。