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IV


――数日後。

午前中にあった体力育成の授業を終え、夜月たちは食堂に足を踏み入れた。食堂はいつもよりも少し騒がしくて、ある一点に人だかりができているのを見つける。


「あれ、なんだろう?」
「食堂の壁際に人だかりができてるな」


人だかりができている方へ行ってみると、みんな壁に貼られたチラシを見ていたようだ。チラシには大きく『全国魔法士養成学校総合文化祭・「ボーカル&ダンスチャンピョンシップ」出場メンバーオーディション』と書かれている。


「ああ、総合文化祭で行われる音楽発表会のことか」
「毎年テレビで放映されてたからたまに見てたけど・・・・・・選抜メンバーって、オーディションなんだ」
「へぇ、テレビにも取り上げられるんだ」


続けてエースがチラシの続きの文を読み上げる。「『なお。大会で登校代表チームがファイナリストに選ばれた場合・・・・・・メンバーに優勝賞金の500万マドルを山分けいたします。』」


「「ご、500万マドル山分け!?」」
「そうなんですよ〜! 豪華でしょう!?」
「「うわっ! びっくりした!」」


チラシの金額に驚いた次は、突然現れた学園長に肝を冷やす。

この『ボーカル&ダンスチャンピョンシップ』通称『VDC』は、たくさんの企業がスポンサーとして大会を支援しており、ファイナリストにはさまざまな芸能界事務所やオンガクレーベルからデビューのオファーが殺到するという、sこいらの軽音部のコンテストとはわけが違うらしい。ゆえに賞金の500万マドルなど安いもんだという。


「500万マドルあれば。高級ツナ缶がいっぱい買えるんだゾ!」
「たとえばチームが4人だとすると、ひとり・・・・・・ひゃく、ひゃくさん・・・・・・」
「125万マドル。300マドルのツナ缶なら4000個以上買える」


それを聞いたグリムは目を輝かせて「なあなあ、ヨヅキ! オレ様この大会に出たいんだゾ!」と訴える。「うーん、でもまずはオーディションに受からないといけないし」夜月は苦笑しながら答える。

「在学生ならだれでもこのオーディションを受ける権利がありますよ。今年は誰が代表になるか、楽しみですねぇ〜」学園長は独り言を言いふらしながら、言いたいことだけ言って立ち去っていく。

再び視線をチラシへと移す。下記の方に『参加申しモミは3−Aルーク・ハントまで』と書かれていた。
エースは「へぇ〜、面白そうじゃん!」と笑う。


「オレら運動部は裏方作業ばっかで楽しくなさそうだし、試し受けてみねぇ?」
「よーし、オレ様も練習してオーディション受けてやるんだゾ!」


エースとグリムは、目的はそれぞれ違うがオーディションに受ける気でいるらしい。


「僕はやめておく。オーディションを受けたところで受かる気がしないしな」
「私も。グリムの付き添いとして付いて行くよ」
「えー、ノリ悪っ」


一方でデュースと夜月はあまり乗り気ではない。そんな2人にエースがムッとする。「まず、真剣にテッペン狙ってないヤツが冷やかしに行くべきじゃない」というデュースの意見は、実にデュースらしい理由だった。

話はいったん切り上げ、次の授業の魔法薬学でデュースが日直のため準備があることもあって、早々に昼食を済ますことにした。