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30


宴が終わった後、グリムと夜月は久しぶりのオンボロ寮へと帰ってきた。カリムは泊っていけと言ったが、何日も開けた寮に帰りたい欲求もあり、遠慮することにした。エースとデュースは慌てて家を飛び出したため、今日だけ寮で休んだらまた実家に帰るらしい。まだホリデーは半分を過ぎただけ。せっかくのホリデーだ、家族と過ごすべきだろう。


「ほぁ〜・・・・・・やっと寮に戻ってこれたんだゾ」
「なんだかオンボロ寮が懐かしく感じるね」


オンボロ寮を目の前に、ほっと息をつく。「おぉ〜い、2人とも!」すると帰ってきた夜月たちに気づきゴーストたちが寮から出てきた。「ずっと帰ってこないから、お前さんたちがあの世に行っちまったんじゃないか・・・・・・って」「みんなで心配してたんだぜぇ。ヒッヒッヒ・・・・・・」出迎えたゴーストたちは無事の2人の姿を見て安心したように息をついた。


「無事だったんじゃな。良かった、良かった」
「大食堂の暖炉の火の妖精たちの番はわしらがやっておいてやっただぞ」
「ふな”っ!? そういえば・・・・・・」
「ゴタゴタですっかり忘れてた・・・・・・」


ここ最近の出来事ですっかり忘れてしまっていた。ゴーストには感謝しなければ。「ここ得るほど寒いホリデーはゴメンだからねぇ」そう言ってゴーストは笑った。「そうそう、学園長からご馳走のプレゼントも届てるぞ」その言葉に「にゃっはー! ご馳走!! ヨヅキ、早く行くんだゾ!」とグリムは飛び跳ね、早々に寮へと駆けて行った。ゴーストもその後を追い、寮へ帰っていく。夜月も後を追おうと足を踏み出した、その時だった。


「――おお、戻ったか」
「うわぁ!!」


突然の声と目の前に現れた人物に驚いて素っ頓狂な声を上げた。「くふふ。驚かすのがクセになりそうな良き反応じゃ」その人はクスクスと笑う。目を丸くした夜月に、その人は改めて名乗った。「わしはディアソムニアの副寮長リリア・ヴァンルージュ」


「今日はお主にさるお方からのホリデーカードを届けに参った」
「さるお方?」


「今年のホリデーも誰からもパーティに招かれずに拗ねておったようだが・・・・・・いずれお主が仲間とパーティを開くことがあれば、あやつも招待してやってくれ」リリアはそう言ってホリデーカードを夜月に渡した。夜月はそれを受け取り、不思議そうにそれを眺める。


「では、わしはこれで。良きホリデーを」


受け取ったのを確認すると、リリアはすぐさま姿を消した。姿の消し方がツノ太郎の時と同じで、消えた瞬間キラキラとそこが輝いていた。夜月は受け取ったホリデーカードを改めて見下ろし、裏返した。


「M.D・・・・・・誰だろう」


差出人のところはイニシャルで書かれていた。M.D・・・・・・このイニシャルを持つ知り合いを夜月は思いあてることができなかった。
「ヨヅキ〜!! 早くしないとご馳走を全部食っちまうんだゾ〜〜!」ふと顔を上げると、寮からグリムが早く早くと手招きをしていた。夜月はホリデーカードをポケットにしまい、久しぶりの我が家へ足を踏み入れた。