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29


心配して駆けつけてくれたエースとデュースも宴に加わって、楽しい時間が続いた。フロイドにオアシスで泳ぐのに誘われたが、流石に水着に着替えることもできず申し訳ないが遠慮した。フロイドは少し不満そうにしたが、そこはジェイドがフォローしてくれた。

太陽に日差しが強く、夜月は木に背中を預けて日陰に座っていた。飲み物を片手に、楽しそうにするグリムたちを眺める。すると、ふと隣に人影が被った。目を向けると、#夜月の隣にジャミルが腰を下ろしていた。目を丸くしていると、隣に座ったジャミルと目が合う。


「なんだ? 俺が隣じゃ不満か?」


目を細めて言うジャミルに慌てて首を振る。ジャミルはフッと鼻と笑った。「どうしたんですか?」と夜月は尋ねる。「一人でいるとカリムやアズールに絡まれるからな」うんざりとしてジャミルは言う。「ああ、なるほど・・・・・・」それでここに避難してきたわけか。はは、と同情するように苦笑を零した。

特に話す内容もなく、しばらく沈黙が続いた。ぼーっと周りの様子を眺めていた時、ふと夜月が思いつく。「あの、ジャミルさんに聞きたいことがあって」尋ねてくる夜月に黙ってジャミルは目を向ける。


「あの・・・・・・私が女だってバレてます?」
「は? 当たり前だろ」


「で、ですよね」なにをいっているんだ、という顔で見られガクリと肩を落とす。「カリム先輩にも気づかれていたので、もしかしたらと思って」今朝のことを思い出しながら言う。「なんだ、あれで隠していたつもりなのか?」ハッ、とジャミルは鼻で笑う。「隠してるわけじゃないんですけど・・・・・・まあ、男子校ですし」夜月はそう言って誤魔化すように笑った。

「あ、そうだ。今度ジャミル先輩に料理を教えてほしいんですけど」今思い出したかのように言えば、ジャミルは瞬きをして夜月を見た。「俺に? なぜ」ジャミルの問いに夜月は「え?」と零す。ジャミルは料理を教わるなら別に他の奴でもいいだろう、と言う。


「だって、ジャミル先輩の料理が一番おいしいですし」


音もせずに、息をのんだ。「なぜ」静かに言葉を吐き出すジャミルに目を向ける。「何故、そう思う」もう一度ジャミルは静かに問いかけた。

「なぜ、と言われても・・・・・・」ジャミルの問いかけに夜月は困ったように言った。「単純に、今まで食べてきた中でジャミル先輩の作る料理が一番美味しいと思った。それだけですよ」ケーキなどの洋菓子で言えばおそらくトレイの右に出る者はいないだろうが、食事の料理で言えばジャミルの右に出る者はきっといないだろう。毎日通いたくなるくらい、ジャミルの料理はおいしい。今日の宴の料理だって、結局はジャミルが作ったものだ。

「駄目ですか?」と首を傾げて尋ねれば、ジャミルは間をおいてからフッと口端を上げ頷いた。


「気が向いたら、今度教えてやる」
「本当ですか」
「ああ。今度、またスカラビアに来た時にでも教えよう」
「やった。楽しみにしてます!」


嬉しそうに喜ぶ夜月に、ジャミルはそっと目を細めた。