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31


その日は夜までオンボロ寮でグリムとゴーストたちと一緒になってパーティをした。スカラビアの時のような豪華な宴ではないが、オンボロ寮で、しかもゴーストたちを交えて行うパーティは楽しかった。美味しいご馳走をほおばって、今日は久しぶりにぐっすり眠れそうだ。
部屋の電気を消し、すでに眠ってしまったグリムを起こさないようにしてベッドに向かう。布団をかけて眠ろうとしたとき、部屋の鏡が淡い光を放ち始めた。

――また、鏡が光ってる。

前と同じだ。夜月は布団をどかして鏡の前へと向かう。その途中で謝ってグリムの尻尾を踏んでしまったが、寝ぼけていたのかグリムはそのままぐっすり眠ってしまう。
コン、コンと鏡の向こうからノックをしてくる。

――また、この大きな耳の影だ。


「そこに・・・・・・誰かいるの? キミは誰?」


大きな耳をした影が、鏡の向こうから尋ねてくる。


「夜月・・・・・・ヨヅキ・ユウ」


おそるおそるに、鏡の向こうにいる影に応える。「なんだか不思議で、素敵な響きだ」大きな耳の影はそう言った。「あなたこそ、だれ?」今度は夜月が影に尋ねた。


「僕はミッキー、ミッキーマウス」


「僕、また夢を見てるのかな?」彼は腕を組んで考えるようなそぶりを見せる。「でも僕、もう3回も同じ夢を見てる」夜月も同じように、鏡が光った夢は3回見ていた。「生きたトランプも、踊るミュージックボックスも、いつも一緒・・・・・・なのに」彼は続ける。「キミの声だけが、だんだんはっきり聞こえてくる」夜月にも、回数を重ねるたび彼の声がはっきりとしていった。


「もしかするとキミは、夢じゃない?」


――これは、夢じゃない?


「キミは、どこにいるの?」


「どこ・・・・・・?」彼の言葉を反復する。ここは、どこ。私が迷い込んだ世界。目が覚めたら此処に居た、不思議な世界。魔法の世界。「ここは・・・・・・・・・・・・」夜月はゆっくりと口を開いた。


ツイステッドワンダーランド――・・・・・・