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25


一方、スカラビア寮ではオーバーブロットしたジャミルが談話室で胡坐をかいていた。空模様は赤黒く、暗い。「食料も飲み物も、全部持ってこい! 今日は宴だ。阿呆な王が消え、真の実力者が王になった記念日だからな!」ジャミルは命令し、薄ら笑いをうかべた。

「仰せの通りに、ご主人様・・・・・・」「ジャミル様こそスカラビアの王にふさわしい・・・・・・」「ジャミル様、万歳!」ジャミルの洗脳にかかった寮生たちは虚ろ気な瞳で口々にジャミルの望んだ言葉を放つ。「ははは、そうだろう。もっと言え。俺を褒め称えるがいい」


「あなた様は、とてもハンサムで・・・・・・」
「ほう?」
「色黒で、背が高くて・・・・・・」
「それで?」
「目が吊り上がっていて、とても賢そうです」
「それから?」
「肩がイカッてて・・・・・・」
「見るからに強そうな感じだな!」
「うっとりです」
「ふん、なかなかの誉め言葉じゃないか・・・・・・って、お前たちは!?」


「時空の果てまで吹き飛ばしたはずだ。この短時間でどうやってここまで戻ってきた?」振り向けば吹き飛ばしたはずの夜月たちがいて、ジャミルは目を見開く。「乾いた川に水を満たして泳いで帰ってきた!」カリムはニッコリと笑顔で答えた。「チッ、そうか。カリムのユニーク魔法で・・・・・・! フン、お前の魔法にも使い道があって良かったじゃないか」馬鹿にするようにジャミルは鼻で笑う。「ふっ、カリムさんの力を侮っていたようですね」


「ジャミル・・・・・・お前がオレをどう思ってたか、よくわかった。間違いなく、お前は卑怯な裏切り者だ!」
「馬鹿め。疑いもせずに信じる方が悪いんだろ?」


「正々堂々、オレと勝負しろ。そしてオレから奪った寮長の座・・・・・・返してもらうぜ」ジャミルと対峙し、カリムは真直ぐに視線を向けた。「奪っただと? ハッ・・・・・・どの口が!! 俺からなにもかも奪ったのは、お前のほうだ!」ジャミルはキツくカリムを睨みつける。


「思い知るがいい。この俺の本当の力を!! アッハッハッハァ!」


「俺こそがスカラビアの真の支配者だ・・・・・・!」その瞬間、ジャミルの周りにビリビリと魔力が散らばる。その姿に圧倒される。「彼はどれほどの魔力を内に秘めていたのか・・・・・・」その様子を見たアズールも呟く。いったいどれだけ自分を押し殺していたのだろう。「オレは・・・・・・オレは絶対あきらめない!」カリムはジャミルを見詰め、マジカルペンを前に構える。

「さて、ではヨヅキさん。前回のように指示をお願いしますね」前を見据えていたジェイドがふと夜月に視線を向けた。「あはっ、小エビちゃんの言うことなら聞いてもいいよ〜」ジェイドに続き、フロイドも言う。「ご安心ください。あなたには指一本触れさせません」安心させるようにアズールは自信気に微笑む。「危なくなっても、オレが守ってあげるからね」フフッと笑うフロイド。すると「ヨヅキ」とひどく真剣な顔立ちをするカリムが名前を呼ぶ。自然と夜月はカリムと向き合う。


「たのむ、ジャミルを正気に戻ししてくれ」
「・・・・・・はい。一緒に頑張りましょう、カリム先輩」
「――! ああ!」