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21


――魔人の夢?


「ヨヅキさん、グリムくん、起きてください」


「ん・・・・・・」声と共に肩をゆすられ、徐々に意識が浮上して来る。いつもなら木漏れ日かグリム、もしくは自分で目が覚めるのに。夜月はすぐには起き上がらず、布団の中でもぞもぞと寝返りを打つ。「ふにゃ・・・・・・オアシスまで行進かぁ?」隣で目を覚ましたグリムが欠伸をしながら言った。「行進しないために早起きしたんです」それにアズールが答えた。

会話を聞いて意識がはっきりしてきた夜月は布団をどけて起き上がる。「おはようございます、ヨヅキさん」ジェイドはニコリと笑う。「小エビちゃんって朝弱いんだぁ〜、意外」寝起きの夜月を見て、フロイドはそんなことを零した。「おはようございます・・・・・・」まだ覇気のない舌足らずに口を開く。


「さあ。行きますよ」


クスリと笑ってアズールは4人い声をかけた。



□ ■ □



朝の支度をし終えると、アズールたちに連れられるまま部屋を出た。途中でフロイドとは別れ、アズールとジェイドに黙って付いて行くと、たどり着いたのは寮長であるカリムの部屋。2人はノックをしてすぐに部屋に入り、まだ眠っているカリムを起こす。


「んん・・・・・・ジャミルか、おはよ・・・・・・」
「いいえ、僕はジェイドです。そう言えば少し、名前の響きが似ていますね、ふふっ」
「え・・・・・・あれ? 何でお前らが此処に居るんだ?」


「え、え? なんだ、あれ? ジャミルは?」目を白黒とさせ、状況を理解していないカリムはあたりを見渡してジャミルを探す。「心配しないで、お着替えの手伝いくらい僕らでもできますよ」そんな彼にアズールはニコリと微笑み、甲斐甲斐しく服を手に持って世話を焼く。


「カリム、そろそろ起きる時間・・・・・・なっ!?」


ノックをして部屋に入ったジャミルは目の前の光景に驚愕する。「何故お前たちがカリムの部屋にいる!?」ジャミルは問いかける。「ああ、ジャミルさん! おはようございます!」それにアズールが答えた。「これからは休みが明けるまで毎日、僕らがカリムさんのお世話をしますので。今日からゆっくり眠ってくださって大丈夫ですよ」アズールの言葉に「ハァ・・・・・・!?」とジャミルは声を上げる。

アズールは続ける。いま自分たちはスカラビアに食客としてお世話になっている身だから一番誰よりも働いているジャミルの手伝いをしようと。「名付けて『ジャミルお助け隊』なんだゾ」ドヤ、とグリムが胸を張って言う。


「な、なにを馬鹿な・・・・・・いや、そういうわけにはっ」
「お、おお・・・・・・おおお〜〜〜!! それ、いいな!」


「オレもジャミルの仕事が楽になる方法はないかとずっと思ってたんだよ」一方カリムはジャミルを無視し、アズールの言葉に感激していた。「従者を思いやるカリムさんのお気持ち、美しいですね。アズールに爪の垢を煎じて飲んでいただきたいくらいです」ジェイドがしれっと毒を吐く。「はっはっは。本当にお前は一言余計だな、ジェイド」その二人の様子に夜月は苦笑した。


「そんなわけで、ここは僕らに任せて。ジャミルさんはのんびりくつろいでください」
「そうさせてもらえ、ジャミル! 良かったな!」
「さあさあジャミルさん。お部屋に戻って二度寝でもなさってください」


アズールとジェイドに追い出されたジャミルはバタン、と扉を閉められ、ため息を落とし、食事の準備をするために踵を返した。