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「#エロ」のBL小説を読む
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19


「やった〜今回はオレの勝ち! これで3勝!」
「集中力の高い時のフロイドは、やっぱり勝負強いな」
「ふぎゃー! また負けた! アズール、容赦ないんだゾ!」
「やっぱり強いですね」
「これで僕は5勝0敗。まあ、ボードゲーム部として当然の結果です」


ジャミルに遊び方を教えてもらった後、2つのマンカラを使ってしばらく遊んでいた。グリムと夜月はアズールを相手に遊んでいて、やはり頭脳派のアズールに勝つことはできなかった。「ジャミルさんは2勝3敗、ですか」ふと、アズールが口を開く。「ん? ・・・・・・ああ、久しぶりだから腕が鈍ったかな」ジャミルは続ける。「昔はカリムに『勝つまでやる』って毎日何時間も付き合わされてたっけ・・・・・・こういうの弱いくせにな」昔を思い出すようにジャミルは呟いた。「なるほど。ふむ、それでですか」アズールの零した言葉に「なにが『なるほど』なんだ? 変なヤツだな」とジャミルは目を細める。

「カリムさんとは幼いころから一緒に育ったのですね」他愛のない会話に、ジャミルは頷く。「それこそ物心つく前からだな・・・・・・そういえば、君たちオクタヴィネルの3人もお幼馴染だったか?」と聞けば「そうらしいね〜」とフロイドが言った。「らしい、って?」フロイドとジェイドやアズールはエレメンタリースクールに入ってからずっと一緒のクラスだったらしいが、フロイドがアズールを認識したのはミドルスクールに入る直前だったという。だからあまり、幼馴染っぽい思い出はないらしい。「僕、それはそれは大人しいタイプだったので。目立たない生徒だったんですよ」


「別の意味で目立ってそうだったけどな。主に横幅が・・・・・・むがんごご!」
「グリムさん、それは内密にと何度も言いましたよね・・・・・・!」
「可愛らしかったですよ」
「あなたも黙りなさい・・・・・・!」


「それなのに、今は君が寮長? ずいぶんと不思議な関係だな」ジャミルは不思議そうにアズールを見た。「そお? 今はアズールの言うこと聞いてるのが面白いからそうしてるだけ」フロイドが言った。「ジェイドもフロイドも、僕に服従している気はないんでしょう」彼らにとってはそういう“ごっこ遊び”なんですよ、とアズールは続けた。「僕がリーダーとして間違った・・・・・・あるいは、つまらないと選択したときは――2人はあっさり僕から離れ、寮長の差を奪うはずです」


「まあ、挑まれても負ける気がしませんが」
「オレらも挑む予定ないけどねー。今んとこは、あはっ」
「ある意味での信頼関係ですね」
「・・・・・・あくまで君たちは対等な関係、なんだな」


「今は面白いから一緒にいるし、つまんなくなったら一緒にいなくなるってだけ」フロイドが続ける。「つーか、副寮長は寮長の家来じゃないし、フツーじゃん」フロイドの言葉にジャミルは「・・・・・・普通、ね。生まれた時からアジーム家の従者の俺には、やっぱりよくわからない」と静かに目をそらした。「主人は主人、従者は従者だ。おそらく、一生な」


「おっ、何だお前ら。まだ遊んでるのか?」
「えっ!?」
「ん? マンカラか。懐かしいな、昔ジャミルと何時間も勝負したっけ」
「お前、もう寝たはずじゃ?」


談話室を覗いたのはカリムだった。ジャミルはそれに驚き、目を見開く。「どうして・・・・・・1人でフラフラ出歩くなといつも言ってるだろ。もしまた誘拐されでもしたら・・・・・・」ジャミルが小言を続けようとすると「心配性だなジャミルは。大丈夫だよ、ジェイドも一緒だったし」カリムはそう言った。「――は? ジェイド?」


「はい。ずっとカリムさんのそばにいましたよ」
「・・・・・・!!」


カリムの横から出てきてジェイドにジャミルは目を細める。「カリムさんは本当に親切な方ですね。色々と丁寧に教えてくださって・・・・・・」ニコリと笑うジェイドに、ジャミルは警戒心をむき出しにした。「・・・・・・お前、カリムに何をした?」静かに問うジャミルに「なに・・・・・・とは? 僕たちはただ楽しくお話していただけですよ。ね、カリムさん」とカリムに投げかける。「うん。宝物庫を案内してただけだぜ?」カリムはいつも通りに笑って答えた。


「――っ・・・・・・!!」


「戻ろう、カリム」ジャミルはカリムの手を掴んで引っ張る。「え? なんだよ、急に」カリムは訳が分からず目を丸くする。「いいから、部屋に戻るぞ!」強引にジャミルはカリムを引っ張る。「うわっ!? わかった、わかったから引っ張るなって!」カリムは驚きながらジャミルに従った。


「悪いジェイド、絨毯はまた今度な」
「はい・・・・・・またいずれ。フフフ」


目の前で繰り広げられたことに、夜月は目を丸くするだけだった。