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08


「はぁ〜〜! 本当に楽しかったんだゾ!」
「ありがとうございます、カリム先輩」
「喜んでもらえてよかった。なんだかんだ、あっという間に夕餉の時間だな」


スカラビア寮に戻ってきたころにはもう夕食の時間だった。「カリム!」カリムの姿を発見したジャミルが急いで駆け寄ってくる。「やっと戻ってきて来たな。夕食前に確認しておきたいことがある、来てくれないか」と言ったジャミルに「ああ、わかった」と頷く。


「ヨヅキたちは先に談話室へ行っててくれ」


カリムに言われた通り、夜月とグリムは先に談話室にお邪魔させてもらうことにした。



□ ■ □



「あ〜腹減った」「今日の特訓もキツかったな〜」談話室には寮生たちももう集まっていて、友人同士と談笑して座っていた。そこにお邪魔させてもらい、夜月とグリムも席に着く。
「ここは冷たい隙間風が吹き込むオンボロ寮と違ってまさに楽園なんだゾ」グリムは此処に住みたいとまで言い出す。「これからどんどん冷え込むし、オンボロ寮の修理でもしようか」夜月は苦笑を零す。


「みんな揃ってるな? 夕食の前に、寮長から寮生全員に話があるそうだ」
「寮長から話・・・・・・ですか?」


「あ、そっか。そう言えばカリムのヤツ・・・・・・」グリムはその内容を思い出した。「居残りはやめてスカラビアも冬休みにするっていってたからね」それを報告するのだろう。きっと寮生は大喜びだろう。「オレ様は美味いメシが食えなくなって残念だんだゾ〜」グリムは不満そうに言葉を零し「文句言わないの、グリム」とそれを夜月が咎めた。

「この冬休み、俺たちスカラビアは自主的に寮に残り毎日6時間自習をすると決定したが・・・・・・オレは気づいた」カリムは淡々と言葉をつづけ、大きく息を吸い込んだ。「それじゃ、全然生ぬるい!!!」カリムの言葉にみんなが「えっ!?」と声をそろえて驚愕した。


「カリム。寮生を家に帰すと決めたんじゃ・・・・・・!?」
「なんか、さっきと様子がおかしくないですか・・・・・・?」
「アイツ、さっきと言ってることが全然違うんだゾ!?」


目を吊り上げるカリムは先ほどのカリムとは全く違った。「1日たった6時間で、他寮にとった遅れが挽回できるはずがない」カリムは続ける。「他寮の2倍、いや、5倍の努力をしなければ成績最下位寮の汚名をそそげないと思え!」さらに目を吊り上げたカリムは寮生たちに告げる。「明日からは毎日5時間の勉強と、4時間の実技訓練を全員の義務とする!」カリムの言葉に寮生たちは声を上げた。「えぇ? 毎日9時間も修行させる気か?」グリムも驚く。「今日の夕食後は、防衛魔法の特訓を行う! さっさと食って準備しろ」カリムがそういえば、寮生たちは戸惑いながらも返事をして急いで料理を口に運びだした。


「スカラビアに来たからには、ヨヅキとグリムも強制参加だ! いいな!」
「えぇっ?!」
「えぇ〜! なんでオレ様たちまで!?」


なんだか変なことになってきた。一体どうしてしまったのだろう。夜月とグリムはそう宣言されるまま、スカラビア寮の特訓に強制参加される羽目になった。