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キャスターの案内の下、立香たちは大聖杯を目指して進んだ。たどり着いたのは、冬木の森の中にあった、暗く大きな洞窟。洞窟の前に立ち、立香たちは深淵のそれを見詰めた。


「大聖杯はこの奥だ」


キャスターは洞窟の奥を指さす。「天然の洞窟のように思えますが」洞窟を見詰めたマシュがそうつぶやく。「いや、これは半分天然、半分人工ね」夜月はそんなマシュの言葉を否定し、続けてオルガマリーも「ええ、魔術師が何年もかけて拡げた、地下工房ね」とこの洞窟を見破った。

その時、背後から殺気を感じ取った。


「キャスター」

「おう。言ってる傍から信奉者の登場だ」


いち早く夜月が気づき、続けてマシュたちも背後を振り返り、その人物を警戒した。現れたのは、アーチャーのサーヴァント。聖杯の泥に汚染され、彼は真っ黒に染まっていた。

「アーチャー・・・・・・」よく見知った人が、そこにいた。


「相変わらず聖剣使いを守ってんのか、テメェは」

「信奉者になったつもりはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」


「何からセイバーを守ってんのか知らねぇが、ここらで決着つけようや」キャスターはアーチャーを挑発するようにして言う。戦闘態勢をして腰を低め、高台に立つアーチャーをみつめた。アーチャーは吐き捨てるように鼻で笑い、その手に宝具を持ち、構えた。


「悪いがそこまで付き合っている暇は、無い」

「っ、マシュ!」

「ッ!?」


明らかに、狙ったのはマシュだった。咄嗟にマシュへと振り返る。時間はわずか。マシュ本人もそれに気づき、マスターである立香を守るように盾を構えたが、わずか一歩が遅い。だが、アーチャーが放った矢は到達する前に炎によって焼け落ちた。

「寂しい事言いっこ無しだぜ、アーチャー」アーチャーの矢を炎で燃やしたキャスターは、不敵に笑う。


「それとも、俺と相手する自信がねえってか!」

「チッ」


そのまま魔術を展開し、アーチャーへの攻撃を試みる。アーチャーは舌打ちをし、空へと飛び去った。戦闘が始まった。


「今のうちに行け! セイバーはあの中だ!」


アーチャーから目を離さずに、背後に居た立香たちに叫ぶ。「行くわよ!」オルガマリーが頷き、その声に従ってマシュや立香も奥へと駆け抜けていく。「ディーア、アンタも行け!」足を止めていた夜月にもキャスターは言う。


「ええ! 此処は任せるわ、クー・フーリン」


キャスターは口端をあげた。
夜月は踵を返し、立香たちの後を追い、洞窟の中へと姿を消した。


暗がりの洞窟



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