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キャスターの協力により、彼らは敵サーヴァントのランサーを倒すことに成功した。
初戦のマシュや立香は安堵の息を漏らす。


「ありがとうございます。危ないところを助けていただいて」

「おう、あんがとさん。アンタの援護のおかげだ」


マシュがキャスターに礼を述べて一例をすると、キャスターは肩を抱いてマシュを抱き寄せた。マシュは動じることなく、不思議そうにキャスターを見上げる。キャスターが厭らしくマシュの身体を撫でる。「ちょ、ちょっと!!」それに驚いて、いち早く立香がマシュとキャスターに割って入り、マシュをキャスターか遠ざけた。「はは! アンタいい身体してんな!」そんな立香を笑い、ふざけてそう言い放つキャスター。

「とんだセクハラ親父ね」オルガマリーは遠目で呆れた声で呟いた。


「何してるのさ、キャスター・・・・・・まったく・・・・・・」


頭を抱え、呆れた溜息を吐きながら夜月が言った。
それを聞き、キャスターはニヤリと笑みを浮かべた。


「お、嫉妬かディーア?」

「馬鹿を言いなさい。私が嫉妬などしない性質なのは知っているだろう」

「つれねーなぁ、相変わらず。ま、そういうトコが良いんだが」

「まったく・・・・・・」


ニヤリと笑ったキャスターに、夜月はやれやれとした。

はたから彼らを見る三人には、出会ったばかりにしては親しい二人を不思議に思っていた。楽し気に笑うキャスターも、呆れても頬を緩めている夜月も、まるでもう長い付き合いのように見える。そして、キャスターが夜月を呼ぶ名前にも、疑問が浮かんだ。

そんな時、再びカルデアからの通信が入った。


『とりあえず、事情を聴きましょう』

「――! ロマニ!」


通信越しのロマニの声を聞くと、夜月はすぐさまそちらに意識を向けた。
カルデアにいるロマニも、夜月の安否を確認出来て嬉しそうにした。


『夜月ちゃん! 君も無事でよかった。怪我も無いようで安心したよ』

「ロマニも、無事で、よかった・・・・・・」


夜月はようやく、心からの安堵をした。胸を撫でおろし、やっと夜月の不安は解消された。安堵に笑みを零した夜月を、ただ一人、キャスターは静かに眺めた。

夜月の安否が取れると、ロマニは今度はキャスターに声をかける。


『はしめまして。御身がどこの英霊かは存じませんが、我々は・・・・・・』

「あー、そういう前口上は結構だ。手っ取り早く用件だけを話せよ。そう言うの得意だろ、軟弱男」

『な、軟弱・・・・・・』


通信越しに軟弱と言われたロマには、声のトーンを落として落ち込んだ。それを聞いて、夜月はこっそりとフフッと笑った。

キャスターはこの世界の現状について、改めて語った。事前にキャスターから話を聞いていた夜月も一緒になって語り、状況の整理をさせる。カルデアのメンバーであるマシュやオルガマリーは事情を飲み込めているが、数合わせできた立香には少々難しい。


『・・・・・・では、残ったサーヴァントを倒せば』

「聖杯戦争は終わる」

「特異点Fの異常も、収まる可能性が高いわね」


「で? 居場所はわかっているの?」オルガマリーは改めてキャスターに尋ねる。キャスターは頷いた。「ああ。この土地の心臓を、護ってやがるのさ。汚染された大聖杯を」話を聞き終え、次に目指す場所は大聖杯と決まった。だがオルガマリーは、再びキャスターへ疑いの目を向ける。


「本当に協力してくれていいのかしら。夜月と契約しているようだけど、貴方はこちらの事情をほとんど知らない」

「構わねぇさ。俺は聖杯戦争を終わらせ、アンタらはこの世界を探索する。利害は一致してる」


自分の時代以外のことは関わらない、それがサーヴァントの鉄則だ。キャスターはそう語る。「そのためのマスターも手に入れたしな」笑みを浮かべキャスターは大きな手を夜月の頭に乗せ、グリグリと撫でる。「ちょ、キャスター」夜月は頭を揺らされ、キャスターの腕を掴んでやめさせようとしている。

「つーことで、陽気に行こうや」警戒を感じさせず、キャスターは言った。そんな様子の彼を見て、オルガマリーも信用することに決めた。


「マシュ? どうしたの?」


そんなとき、立香の声が響いた。視線を向ければ、マシュが少し落ち込んだ様子をしていた。それを見て「ああ、そのことね」とオルガマリーは知っているように呟いた。


「先輩、私はまだ宝具が使えません」


マシュは改めて、マスターである立香に告げる。
宝具が使えない。つまり、真名が分からない。サーヴァントの力を真に発揮することができない、未完成の状態だ。

「宝具?」立香は首を傾げる。「端的に言えば、サーヴァントの武器のことよ」それに夜月が簡単に捕捉を入れた。「どんなサーヴァントと融合したか分からないって言ってたから、そんなことだろうと思ったわ」オルガマリーはため息をついて言う。「マスターが優秀であれば、解析できたのだけど」続けて立香に対し、オルガマリーはじろりと睨む。

「盛り上がってるとこ悪いが」彼らを眺めていたキャスターがそう言って口をはさむ。


「宝具ってのは本能だ。本能が呼び起こされるようなことが起これば、自ずと目覚める」


立香を指さしたキャスターは、目を細め、声色を落とす。それにいち早く警戒をしめいたマシュは盾で立香を守り、そんな2人を庇うようにオルガマリーが立ちはだかる。警戒を強め、目の前のキャスターを睨みつけた。


「キャスター、やめて」


夜月はそんな彼らの間に割って入り、片腕を彼らを庇うように伸ばして、キャスターと対面した。夜月だって理解している。別に、キャスターが敵対しようなんて考えていないことなど。

キャスターはフッと笑うと、杖を持ち直して、霊体化をしてその場から消えた。

「ひとまず、休める場所を探しましょう」安堵の息をこぼし、オルガマリーは指示を出す。マシュたちはそれに頷き、まずは休める場所を探しに足を動かした。

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