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敵サーヴァントは槍を振り上げ、自分に取り巻く煙を薙ぎ払い、姿をさらした。


「貴様・・・・・・キャスター!!」


霊体化をしていたキャスターが姿を現した。キャスタは杖を片手に、羽織っていたフードを取り、不敵に笑った顔を見せる。
キャスターはマシュの隣に立ち、立香やオルガマリーに振り返りながら言った。


「俺はキャスターのサーヴァント。わけあってヤツラとは敵対中でね。敵の敵は味方ってワケじゃないが、今は信頼してもらっていい」


立香は一時的かもしれないが仲間が増え安心したが、オルガマリーは新たな冬木のサーヴァントに警戒心を抱いた。それを見抜いて、夜月が言う。


「彼とは私が契約している。信頼してくれていいわ」

「はあ!? いつのまに!!」

「あ! 本当だ、夜月さんにも令呪が」


突然知らされる事実に、オルガマリーや立香は叫び声をあげる。夜月の手に目を向ければ、そこには確かに、立香の手の甲に刻まれたのと同じものが刻印されていた。紛れもない、マスターの証である令呪だ。

「じゃあお前がマスターか。マスターならシャキッとしな、坊主。サーヴァントへの指示はマスターの仕事だろ」令呪のある立香に向かい、キャスターがダメ出しを放つ。しかし立香にはマスターとしての知識など無に等しく、マスター候補も魔術師ではなく一般人の枠だ。「初戦相手に無茶を言わないでよ、キャスター」戸惑う立香を見かねて夜月がキャスターに言う。キャスターは「へいへい」と笑い、目線を敵へと向けた。


「マシュ、攻撃はキャスターに任せなさい。貴方はその盾でランサーの足止めを」


夜月が指示をする。その姿はとても頼もしく、慣れているようにも見えた。マシュは夜月を信頼し「はい!」と返事をし、盾を強く握りしめた。


「マシュ、もう少しだけ頑張って!」


後ろを向けば、マスターである立香が心配そうに、でもマシュを信じて彼女にそう言った。マシュは深く息を吸い、吐き出す。心wの準備は既にできた。マシュは自分のマスターの言葉に、強く返す。


「――はい! マスター!」




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