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27


もうすぐクリスマス。十二月も半ばのある朝、目を覚ますとホグワーツは深い雪に覆われていた。どおりで一段と肌寒いわけだ。生徒の大半はクリスマス休暇が待ち遠しい様子で、みんなソワソワしている。


「クリスマスなのに家に帰ってくるなと言われて居残る奴がいるらしい。かわいそうに」


マルフォイがハリーを窺いながら薄く笑っているのに気がついて、ディーアはカサゴの脊椎の粉末を計るハリーを見る。ハリーはマルフォイが全く気にならないようだった。マルフォイのお付きの二人もにやにやと笑っていたが、その三人を無視して作業に熱中している。

魔法薬の授業を終えて地下牢を出ると、行く手の廊下を大きなモミの木が塞いでいた。ハグリッドが木を担いでいるらしい。


「ハグリッド、手伝おうか?」

「いんや、大丈夫だ。ありがとうよ、ディーア」


ロンたちと一緒に手伝おうかと声をかけるが、ハグリッドはそう言って断る。すると、背後から気取った声のマルフォイの声がした。揶揄うマルフォイの言葉にロンが怒り、飛びかかろうとした瞬間、スネイプが階段をちょうど上ってきた。


「ウィーズリー!」


スネイプが声をあげて大股に近づいていく。ロンがマルフォイを今にも殴りそうになっていた。


「スネイプ先生、喧嘩を売ったのはマルフォイの方からでさあ」

「それでも喧嘩はご法度だ。グリフィンドール五点減点」


ハグリッドの取りなしにすげなく言って、スネイプがスリザリン生を引き連れて去って行く。


「いつか二人もろともやっつけてやる。大嫌いだ」

「元気出せ、なんて言ったってもうすぐクリスマスだ」


ハグリッドに連れられて大広間に足を踏み入れた四人は目を輝かせた。十二本ものクリスマスツリー、それぞれが壮麗に飾られている。四人がキラキラした目でツリーを見上げているのに気を良くしてハグリッドはにっこりした。ツリーを運び込んだのはハグリッドらしい。


「休暇はいつからだ?」

「明日からよ、ハグリッド」

「昼食まで時間があるから、図書館に行かなきゃ」

「そうだった」

「お前さんたち、勉強のしすぎだぞ」

「勉強じゃないよ。ニコラス・フラメルについて調べてるんだ」


ハリーの言葉にハグリッドの顔から笑顔が消えた。


「なんだって? ほっとけ、あの犬が何を守っているかなんて、おまえさんたちには関係ねぇ」

「わたしたち、彼が誰か知りたいだけよ」

「そうだよ。でも、ハグリッドが教えてくれたら僕ら、こんな苦労はしなくていいんだけど」

「俺はなんも言わんぞ」

「じゃあ、僕ら自分たちで見つけることにするよ」


ハグリッドはその返答に肩を落とす。

三人は本気でスネイプが何かを盗もうとしていると思っており、その考えは確固の意志で貫いている。唯一ディーアだけがそれに対して否定を示しているが、何があるのかは気になるため、そのことは黙秘してニコラス・フラメルについて調べていた。

その後図書室へ出向くが、結局見つけることはできない。もう二週間も収穫なしだ。見つからなくても無理はない。


「私が家に帰っている間も続けて探すでしょう? 見つけたら、ふくろうで知らせてね」


クリスマス休暇で明日帰る予定のハーマイオニーは三人にそう言い残し、探すのを切り止めて四人は昼食に向かった。