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十一時には顎口虫がクィディッチ競技場の観客席につめかけていた。双眼鏡を持っている生徒もたくさんいる。観客席は空中高くに設けられているが、それでも試合の動きが見にくいこともあるらしい。

ロン、ハーマイオニー、ディーアは一緒に最上段に陣取り、グリフィンドールもといハリーを応援しようと意気込んだ。

ピーッ!

銀の笛が高らかに鳴り、クアッフルと15本の箒が一斉に頭上高く舞い上がった。遥か頭上に舞い上がったクアッフルを追いかけ、チェイサーが急上昇する。ビーターとシーカーはチェイサーの邪魔にならないように離れて浮上した。再び銀の笛が鳴ったのと、アンジェリーナがクアッフルを捕ったのは同時だった。ブラッジャーが投入されたのだ。そしてまた銀の笛が鳴る――スニッチの投入だ。


「さーて始まりました! 今シーズン初のクイディッチ、対決するはグリフィンドール対スリザリンです!」


解説者のリー・ジョーダンの声が競技場全体に広がった。

アンジェリーナが艶やかな黒髪をなびかせて物凄いスピードで敵ゴールへと箒を飛ばす。飛び回るブラッジャーが競技場を縦横無尽に暴れまくり、ビーターはブラッジャーの動きに目を光らせる。そしてフレッドがもうブラッジャーを敵陣に弾き返した。


「さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました。何て素晴らしいチェイサーでしょう。そのうえかなり魅力的であります」

「ジョーダン!」

「失礼しました、先生」


マクゴナガル先生に叱られ、ジョーダンが軽い口調で謝罪した。双子の仲間であるリーはマクゴナガル先生の厳しい監視を受けながら実況を放送している。

グリフィンドールが先取点を取り、グリフィンドールの大歓声が寒空いっぱいに広がった。スリザリン側からはヤジとため息が上がった。

すると、小屋で見ていたハグリッドが観客席へとやってきた。ロンとハーマイオニーとディーアは、ギュっと席を詰めてハグリッドが一緒に座れるように広く場所を開けた。

試合は順調に進んでいた。グリフィンドールが先取点を駆け抜け得点を稼いでいた。だが、あろうことかスリザリンの選手は強硬手段を使い、1人またひとりとグリフィンドールの選手を行動不能にしていく。そのせいでグリフィンドールは上手く機能できず、スリザリンに点を持っていかれてしまった。

そんなとき、ハリーの目がスニッチを捕らえた。そうして動き出しことにより、お互いのチームのシーカーがスニッチを追い始める。すると、突然ハリーの動きが変になった。箒がグルグル回りだし、ハリーは今にも落ちてしまいそう。


「何してるんだよ」

「ハリーはどうしたの?」


見ていたロンとディーアは心配気にハリーを見上げる。するとハーマイオニーが突然、隣に居たロンの双眼鏡をもぎ取って覗き込んだ。そして何かを見つけ「思った通りだわ」と口にした。


「スネイプよ、箒に呪いをかけてるんだわ」

「え!? どうしてスネイプ先生が」

「どうすりゃいいんだ?」

「私に任せて」


ロンが次の言葉を言う前に、ハーマイオニーは双眼鏡を押し返してどこかへと姿を消した。ハーマイオニーが何をするのか気になったが、ハリーのことが気がかりで目をそらすこともできず、ディーアはその場にとどまった。

箒が激しく震え、ハリーは箒にぶら下がっている状態になる。フレッドとジョージが自分の箒に乗り移させようとするが、近づくと箒は激しく飛び上がってしまい、どうすることもできない。


「早くしてくれ、ハーマイオニー」


ロンは必死に呟いた。

ハーマイオニーは何故スネイプ先生が呪いをかけていると言ったのだろう。他の生徒と違い、ディーアはスネイプに対してそれなりの好印象を持っており、怪我の手当てなどもしてくれたため、素直にスネイプ先生だと決めつけられなかった。

「ロン、それ貸して」ロンが覗いていた双眼鏡を取って、先生たちがいる観客席を見る。そこに映ったのは、じっと一点を見つめて口を動かすスネイプ先生の姿。呪いをかけるとき、瞬きをしてはいけないと本に書いてあった。それなら当てはまる。確かにスネイプ先生は瞬きをしていない。ただ、ディーアはその後ろ席にいるクィレル先生が気になった。彼も、瞬きをせずに一点を見ていたのだ。

突然、スネイプ先生の足元に小さな火が燃え上がった。それに気づきスネイプが目を離して勢いよく立ち上がると、後ろに座っていたクィレルも椅子から滑り落ち、瞬きをした。きっとハーマイオニーだ。急いでハリーに視線を戻せば、箒の揺れは消え、しっかりとまたがることができていた。


「ハリー、よかった」


ディーアは安心して双眼鏡を下ろした。

ハリーは箒のコントロールを取り戻し、再びスニッチを追い始める。急降下をして、箒の上に立って腕を伸ばす。バランスを崩したのか、ハリーはそのまま箒から落ちてしまったが、スニッチを口に含んでしまったらしく、それを吐き出して、見事スニッチを捕まえた。


「グリフィンドール、一七〇対六〇で勝ちました!」


クィディッチはグリフィンドールの勝利に終わり、寮生たちの歓声が大きく響き渡った。