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「ハリー! 大丈夫、怪我はない?」
「だ、大丈夫だよ。ありがとう、ディーア」
トロールが倒れ、解放されたハリーに近寄る。ハリーはローブを払いながら立ち上がった。目立った怪我もないようで、ディーアははぁ・・・・・・と安堵の息を漏らす。
ハーマイオニーがやっと立ち上がって、恐々近付いてきた。
「死んじゃったの?」
「気絶してるだけだと思う」
ハリーが杖を回収するためにトロールに慎重に近付きながら言った。そのとき、複数の足音が近付いてきた。
最初にあらわれたのはマクゴナガルだった。スネイプとクィレルが続き、クィレルはトロールを見た途端悲鳴を上げて床に座り込んでしまう。
「どういうことです!」
マクゴナガルは四人をまっすぐ見据え、怒りに満ちた声で問いただした。
「寮にいるべきあなた方がどうしてここにいるのですか!」
「マクゴナガル先生、わたしのせいです」
ハーマイオニーが喋りだすのをディーアとハリー、杖をいまだに掲げたままのロンは口をあけて見つめた。
「どういうことか説明なさい」
「・・・・・・わたしがトロールを探しに来たんです。一人で退治出来ると、本でトロールのことをいろいろ知っていたから、そう思ったんです」
ロンが杖を取り落とした。ディーアとハリーも驚いてハーマイオニーを見つめる。ハーマイオニーが嘘をついている。しかも、マクゴナガルに。
「ディーアはわたしを止めにきたのに、無理やりついてこさせたんです。もし二人が助けに来てくれなかったら、わたしたち今ごろ死んでました。二人が来てくれた時にはわたしたち殺される寸前で・・・・・・」
マクゴナガルや一緒に来たスネイプがハーマイオニーの話を聞き、ちらりとディーアを見やる。ディーアはハーマイオニーの発言に驚いているのを隠しながら何度も頷いた。
「ミス・グレンジャー、とても愚かしい行為です。グリフィンドール五点減点。怪我がないようなら寮に戻りなさい。パーティーの続きを談話室でやっています。ミス・エヴァレスト、貴女も怪我はないですね?」
「は、はい! 大丈夫です」
「なら貴女も戻りなさい」
ハーマイオニーとディーアは先に返された。二人は寮に戻ったがガヤガヤうるさいパーティーには参加せず、扉の近くでハリーとロンが戻ってくるのを待った。二人が戻ってきたとき、四人は互いに気まずい顔をしたが、お互いに「ありがとう」と言って、パーティーに参加する。
これを機に、四人は友達になった。