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「おはようハリー、ロン」

「おはようディーア・・・・・・」

「おはよう・・・・・・」


本を持って談話室へ降りてくると、ハリーとロンが向かい合って羊皮紙や本と睨めっこしていた。二人の表情はとても絶望的で、睨めっこしているそれは授業で出された課題だった。ロンはともかく、ハリーはクィディッチの練習三昧で課題に取り組む時間はあまりなく、疲れてしまって頭もまわらない。溜まってしまうのは仕方がないだろう。


「大変そうだね、課題」


ディーアは二人に苦笑を零した。


「ディーアはどうせもう終わったんだろ? なら手伝ってくれよ」

「うん、僕も頼むよ」

「あ・・・・・・ごめんね、先に済ませたい用事があって。すぐ終わると思うから、そしたら手伝うよ」

「ありがとうディーア」

「うー、たすかったぁ・・・・・・」


少し希望が見えたのか、ハリーとロンの表情は少し良くなった。
ディーアはそのまま二人に手を振って、談話室を後にする。

用事というのは、魔法薬学の本を探すことだ。手に持っている本は母のメモのようなもの。本として出版したものではなく、個人的に残したものだ。そこに書き残されたモノは一般に知られている魔法薬学の応用のようなものだった。だからまず、基本となるものを図書室で探そうと思ったのだ。

ハリーたちと約束もしてしまったことだし、早く談話室にもどらないと。ディーアは早足で階段を駆け下り、図書室へと急いだ。ちょうど駆け足で曲がり角を曲がろうとしたとき、前から人影が現れ、ディーアは咄嗟に止まった。その反動で腕から本を落としてしまう。


「っわ! ご、ごめんなさい!」

「ミス・エヴァレスト、廊下を走るな。グリフィンドール、マイナス5点」

「うっ、すみません・・・・・・」


目の前に現れたのはスネイプで、キュッと眉間にしわを寄せて言い放った。注意を受けた上にグリフィンドールの点数も下げてしまった。ディーアは肩を落とす。

スネイプはふと足元に視線を落とす。そこにはディーアが持っていた本が落ちていて、それを拾い上げる。本の存在を忘れていたディーアは本を拾われたのを見て「あ」とそれに気づく。


「これは?」

「えっと、母の本です。出版されてるものじゃないんですけど・・・・・・」


ちらりと本に視線を移した後、スネイプは動作で中身の確認をそくす。首を縦に振って頷くディーアを確認した後、スネイプは本を開いた。ペラペラと一枚ずつページをめくるスネイプを緊張しながら待つ。


「これを持ってどこに行こうとしていた」

「図書室です。応用が書かれていたので、まずは基本になるものを調べようと」

「君にはまだ早いと思うがね」

「で、ですよね・・・・・・」


パタン、と片手で本を閉じディーアに差し出す。魔法薬学の先生からまだ早いとバッサリ切られ、ディーアは落ち込みながら愛想笑いを浮かべた。自分でもまだ早いとはわかっていたが、そこまであっさりと言われるとは。


「やる気があるのなら、特別に別の課題を出そう」

「え?」


スネイプの言葉に、ディーアは目を丸くする。
スネイプは「根を上げるかもしれないがな」と意地悪に付け足した。ディーアは急いで「頑張ります! ぜひお願いします!」と頭を下げてお願いした。スネイプはそれを見ると、何も言わずにディーアの横を通り過ぎて行った。

やった、スネイプ先生から薬学の課題を出してくれる。ディーアは嬉しい気持ちになって、思わずにやつきながら母の本を抱えた。
スネイプから課題を出してくれるなら、きっと順序を踏んで出してくれるはず。無理に背伸びをしないで、きちんと順序をふもう。

ディーアは急いで来た道を帰った。