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- ナノ -

09


汽車が停車し、押し合いながら列車の戸を開けて外に出ると、小さな暗いプラットホームだった。夜の冷たい空気にディーアは身震いする。


「イッチ年生はこっちだ! 足元に気をつけろ、いいか!」


ハグリッドの案内で新入生たちが次々に集まっていく。

新入生たちは滑ったり、つまずいたりしながら、険しくて狭い小道をハグリッドに続いて降りて行った。右も左も真っ暗だ。きっと木々がうっそうと生い茂っているのだろう。

歩いていると、後ろから鼻をすする音がした。振り返ってみれば、一人の男の子が今にも泣きそうだった。

「どうしたの?」ディーアが優しい声で話しかけた。
「僕のヒキガエルがいなくなっちゃったんだ……」少年はしょんぼりとする。


「あなたが探してた子ね。大丈夫、絶対に戻ってくよ。入学式が終わったら先生に聞いてみましょ?」

「うん……ありがとう。僕、ネビル」

「ディーアよ。よろしくね、ネビル」


狭い小道が急に開けると、大きな黒い湖のほとりに出た。向こうの岸に高い山がそびえ、そのてっぺんに壮大なお城が見えら。大小さまざまな塔がならび、キラキラと輝く窓が星空に浮かび上がっていた。


「四人ずつボートに乗って!」


ハグリッドは岸に津上がれた小舟をさした。
一つのボートにハリーとロン、ハーマイオニーとネビルが続いて乗った。

「ディーア、君が乗りなよ」ハリーはディーアに譲ろうと立ち上がろうとしたが、ボートが揺れすぐにしゃがみ込んだ。
「大丈夫よハリー、違うボートで行くから気にしないで」ディーアはそう言って違うボートに乗り込んだ。

ハグリッドが全員、ボートに乗り込んだのを確認すると「進め!」と声をあげた。途端にボートは勝手に湖を進んでいく。
新入生たちはそびえ立つ巨大な城を見上げていた。ディーアもその一人だった。


「君はエヴァレスト家の子かい?」


突然はなしかけられたのに驚いて、すぐに返答を出せなかった。
話しかけてきたのは、一緒のボートに乗ったプラチナブロンド髪と薄青い眼を持つ少年だった。気取った態度と、上から目線な物言い。きっと、育ちの良いお坊ちゃんかなにかなのだろう。


「おや、違ったかい?」

「ええ、そうよ。私はディーア・エヴァレスト」

「だろうね。銀糸の髪持つのは代々エヴァレスト家だけだ」


青白い少年は、そう鼻で笑った。


「僕は、マルフォイ。ドラコ・マルフォイだ」


少年が名乗った時、丁度良くボートは船着き場に到着した。到着すると新入生たちは次々とボートを降り、岩と小石の上に足をつけた。

「これ、おまえさんのヒキガエルか?」下船したボートを調べていたハグリッドが声をあげた。
「トレバー!」ネビルは大喜びで両手を差し出した。
「よかったね」傍に駆け寄り、ディーアが声をかける。


「みんな、いるか? お前さん、ちゃんとヒキガエルを持っとるな?」


ハグリッドは大きな握りこぶしを振り上げ、城の扉を三回たたいた。