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End of first day


個性把握テストを終え、各々が帰りの支度をしている。
夜月もその一人であり、早々と帰ろうとバッグを持つと、切島と上鳴が寄ってきた。


「瓦楽、今から帰るか?」

「うん、そうだけど」


切島の問いかけに応え、隣にいた上鳴に目線を映す。
すると、彼は笑顔で名前を述べた。


「俺、上鳴電気。良かったらこの後、お茶とかどうよ」

「奢ってくれるなら考える」

「マジで!?」

「え、くいつくの?」


真正面から奢れと言っているのに、彼は喜びの声をあげる。
それに切島と夜月は少々呆れ笑いをした。


「それにしても、やっぱお前すげぇよ! 把握テストと言い試験の時と言い!!」

「あ、それな! あんな万能な個性、見たことねぇって」


そういう二人に、夜月はクスリと笑う。
彼らからしたら凄いことなのだろう。特に切島からすれば、試験の時もある。


「でさ! お前の個性ってどんなやつなんだ? 俺は硬化!」


そう言って、硬化した腕を見せてくる。
しかし、夜月は素直に答えることなく悪戯っぽく言った。


「なんだと思う?」


その問いかけに、二人は頭をひねるが全く浮かばない。
50m走の瞬間移動に立ち幅跳びの跳躍力。試験の時の影のような攻撃。共通点がまったくない。


「ぜんっぜん、想像できねぇ」

「わっかんねぇなぁ」

「ふふ。たった今、答えを言ったけどね、君」

「え?」


上鳴をさしてそういう。しかし、本人は全く気付いていない。
すると近くで話を聞いていた八百万が声をかけてきた。


「『想像』、でしょうか」

「さすが。正解よ」


答えを明かすと、二人はわかりやすく答える。想像だ。範囲が大きい。
答えを聞いた八百万が自分も『創造』だと述べる。


「私の『創造』は、生物以外の物ならなんでも生成できますわ」

「あぁ、なら私の『想像』とは違うね。私は頭で思い浮かべた想像全てを具現化できる。人も、個性も、何でもね」

「んじゃあ、あの瞬間移動もそれか!!」


目を輝かせて、凄い凄いという切島。
しかし、その問いに夜月は少し困ったように笑った。


「いや、あれは違う……かな」


当然、三人は不思議そうな顔をして首を傾げる。


「さ、もう帰りましょう」


夜月がそう手をたたくと、話はそこで終わり、各々の帰宅路に向かい始めた。
切島や上鳴に至っては一緒に帰ろうと誘いもあったが、帰りによるところがあって断った。

よる場所はスーパー。
一人暮らしで食事を適当に済ましていたが、さすがに食料も減った。買い足さなければならない。

何を買おうかと思いながら歩いていると、後ろから声がした。


「あ?」

「ん?」


振り返れば、機嫌の悪そうな顔をした爆豪。
彼はさらに怒鳴りつける。


「俺の前歩いてんじゃねぇ!! クソが! 殺すぞ!!」


一方的で理不尽。
夜月は取り敢えず「すまない」と言って道を開ける。そこを堂々と歩く爆豪。

テスト時から思っていたが、やはり口が悪い。
このまま自分の横を通り過ぎていくと思いきや、「おい」と言われいきなりネクタイを掴まれる。

強くひかれたことにより、身体は前のめりだ。
困惑しながら夜月は爆豪を見上げる。


「……チッ」


いきなり掴み、睨むように見られれば舌打ちをされ、投げ捨てるように手を離される。
ネクタイを整えながら行ってしまう爆豪を、夜月は困惑の瞳で眺めるしかない。

いったい、何だったんだ……?

その疑問はもっともなものだった。