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Lunch is a school meal


翌日、朝は偶々出くわした轟と登校し、何処にでもある学校の授業が始まった。
午前の授業を終え、すぐに昼休みがやってくる。


「瓦楽、お前も学食か」


財布を持って立ち上がった夜月に、斜め前の轟が問いかける。
彼も丁度、財布を持って立ち上がったところだ。


「えぇ、その予定よ」

「わかった」


それだけの短い会話。それだけで成立してしまうのは、中学からの慣れだ。
一時期距離が開いて言葉を交わさなくなったが、また轟は夜月に話しかけるようになった。

自然と一緒に食べることを了承した二人は学食へと向かい、メニューを見上げる。


「轟は何を食べる?」

「蕎麦。瓦楽は」

「私もそれでいいわ」

「わかった」


早々と蕎麦の場所へ行き、プレートもって席探し。
丁度向かい合わせで二つ席が空いており、そこに座って向かい合いながら食事をとる。

暫く黙って食事をとっていると、轟が話しかけてきた。


「お前、切島と仲いいのか」

「ん、何故?」


唐突の問いかけに聞き返すと、彼が「試験の時」と何度か口にしていたからだと轟は答えた。
それに夜月は「あぁ……」と納得し、説明をした。


「実技試験の時、怪我をした彼を助けただけよ」

「わざわざ助けたのか?」

「助けてはいけない、なんてルールはないわ」

「……相変わらずだな」


轟はそういって、オッドアイの瞳を細めて柔らかく笑った。

轟にとって、こういった彼女の行動は何度か見たことがあるのだ。
それは初めて彼女の『個性』を見たとき。
一人の幼い子が車に轢かれそうになったところを彼女が『個性』を使って瞬時に移動し、目の前の車をいとも簡単に停止させた。それが最初。

そんなことが何度かあった。
それ以来轟は彼女に興味を示し、ライバル視ともいえることを言い、素直に感心した。


「そういや、瓦楽が此処に来ることになった手違いってなんだ」

「……君、私が誘いを断った事怒ってるの?」

「……? 別に怒ってねぇよ」


不思議そうな顔をする轟。
夜月は面倒くさそうにしながら、ちゃんと説明をした。

何時だか、面倒だからと説明を適当に省いたらしつこくされたのだ。
それは勘弁。


「誘われたの、ほぼ強制的に。あの人、自分の言葉には従うことを知ってて言うんだもの」


最後に溜息を付け加えた。


「誰の事だ?」

「……相澤消太、担任。まぁ、誘いは学校自体からだったらしいけど」

「は?」


流石に轟も驚いた。
目を大きく丸くさせ、瞬きをする。

こんな彼は滅多に見ない。夜月は楽しそうにクスクスと笑った。


「一応、私の保護者でね。まぁ……複雑でね」

「……そうか」


それ以上、轟は何も聞いてこなかった。
黙々と食事を勧めた二人は、プレートを戻すと教室に返っていく。

今日の本番は、午後からの授業だ――。