小説 | ナノ


時間旅行の終わり


目が覚めてからまだ寝ているパンテラをたたき起こし、布団を畳む。
まだまだ眠そうなパンテラだったが黙って出ていくのもどうかと思った。

「じゃあ俺行くわ。その、今まで一週間、ありがとな」

それから朝飯を食べたあと、 パンテラの目をちゃんと見て別れとお礼を言う。
なんとなく気恥ずかしかった。

「もう会わないと良いな」
「今日で一週間だし、帰れたりしたらいいのになぁ」
「だったら良いのにな」

そんなことは無理だって分かってるから、二人して苦笑いを浮かべながら話す。
それから玄関を開けて階段を下りて、寮長さんにもお礼とお別れを言う。
パンテラは見送りに来てくれて、少し寂しそうな顔をしていた。
その時だった。
こっちに来た時と同じような目眩と吐き気がいきなり襲ってきた。
あの時と同じように気持ち悪くて立っていられなくて、目も開けてられない。
前と同じように数秒経てば目眩も吐き気も収まったけど、目を開ければそこにはパンテラはおらず、一週間前に目眩を感じた場所に俺はいた。
お礼もさよならも言えていたし、もう会わないだろうと思ってたから、そんなに未練はない。ちゃんと帰ってこれた事も嬉しい。
だけど、本当に二度と会えないのかと思うと寂しくて、早く家に帰ろうと思った。

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