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ヴァルキエルさんとシェイプ


ヴァルキエルが廊下を歩いていると、変な物を見つけた。
青色の立方体に手足が生えた謎の物体が廊下をてくてくと歩いているのだ。
謎の物体は足と立方体、合わせて高さ60cmほどで座るのには少し高い。
表面は液晶パネルのようだし、産技の奴らが作ったロボットかとヴァルキエルは結論付けた。

「(またあいつら変なもん作ったな……)」

ヴァルキエルは呆れながらも、あの変な物体がどうなっているのか、あの手と足はなんなのか、少し興味が湧いたようで少し大股で歩きヴァルキエル曰く『変な物体』に近付く。
そしてひょいと後ろから『変な物体』を持ち上げた。

『!?な、なななんでありますか!?』

『変な物体』は液晶に文字を表示して、離せと言わんばかりに足をバタつかせる。
感情はあるのか。と感心して、ヴァルキエルは先程からピーピーと警告音を出す『変な物体』を下ろした。
下ろすと警告音は止み、『変な物体』はヴァルキエルの方に方向転換をする。

『いったいなんなのでありますかっ!用があるなら普通に話しかけろであります!』

そして液晶に文字を羅列させ、『変な物体』は抗議をしてきた。
文面から察するにおそらく怒っているんだろう。

「あぁ、わりぃ。産技の連中がまたなんか作ったのかと思って興味あったんだよ」
『ムッ、私は作られたのではないであります。キューブ星というところから来た宇宙人であります』
「あ?なんだ、機械じゃねえのか?」
『違うであります!私はキャベツから生まれたれっきとしたキューブ人、シェイプ・チャーツなのであります』
「キャベツ……?」

聞きなれた言葉だが、キャベツから生まれるという使い方は聞いたことがない。
首をかしげ、ヴァルキエルは『変な物体』もといシェイプの言葉を繰り返す。
それにシェイプは体を前に揺らした。
おそらく肯定の意だろう。
その後にシェイプの液晶にまた文字が表示されていく。

『キューブ人はこの星のキャベツに似たものから生まれるであります。詳しく言うと』
「いや、その先は良い!」

細かく説明をしようと文章を表示させていこうとするシェイプを、ヴァルキエルは慌てて止めた。
長くなりそうだし、とても理解できるできるとは思えなかったからだ。

「ようするにアンタは宇宙人ってことだろ?」
『そうであります』

理解できたことを確認として聞くと、シェイプは再び前に体を揺らす。

『ところで用はそれだけでありますか?』
「あぁ、気になっただけだ。引き留めてわりぃな」
『むしろ誤解が解けて良かったであります。それでは私は研究に戻るであります』
「おう、じゃあな」

シェイプはそれだけ表示させると短い足で歩いていく。
ヴァルキエルは「それにしても変な宇宙人もいたもんだな」などと思いながら、それを見送った。

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