02:誰か鼻歌であの雲の向こうに笑い飛ばして

「流魂街の出ながら1回目で入試に合格し、真央霊術院を2年で卒業、僅か5年で七番隊副隊長」

女性で五大貴族の上司に話しかけられる
本来は尊敬している、

「護廷十三隊きっての快挙じゃぞ?名前、もっと喜ばんかい」

「興味がないので」

「貴様!夜一様に向かって無礼だぞ!」

「うるさいなぁ、砕蜂」

ただ時々、この人の奔放さに驚きを通り越す
たった今、呟かれた昇進の言葉は護廷十三隊でも大事だ

「2人ともそれくらいにせんかい、式典は明日執り行うからの、推薦人は儂じゃ」

式典が明日なのに報告が今日なのは何故でしょう、とこの人に言っても無駄なのは分かってる

「ご期待に添えるよう、尽力致したいと存じます」

急な昇進に戸惑いもある、特に七番隊となると更にだ、

「分かっておると思うが、七番隊の副隊長の座が埋まるのは歌匡以来じゃ、その妹となれば当然隊士たちも期待しておる」

「私は姉とは違うので、」

そう頑なになるな、と四楓院隊長に肩を叩かれる
歌匡の名前が出てくるとどうしても胸がざわつく
私は絶対、あいつとは違う、










「失礼します、二番隊四席苗字名前と申します」

「おう、入れ」

この場所に訪れるのはあの日以来だ、

「引き受けてくれてありがとな、」

いえ、と言いながら世間話の流れで前日に伝えてきた上司が勝手に引き受けました、との言葉をグッと堪える

「より一層の精進を重ねて参る所存です」

「そう固くなる必要はねーよ、隊っつーのは俺は家族だと思ってる」

二番隊の矜恃とは大きく異なるな、と他人事のように思う

「歌匡は歌匡だし、名前は名前だ、別にお前らが姉妹だから俺はお前を選んだんじゃねぇ」

歌匡、という言葉に強ばるのがわかる

「お前は明日から七番隊の一員で、家族なんだよ」

何故この話を敢えて愛川隊長がしたのかは何となくわかる

「私は、」

ゆっくり息を吸い、吐き出すかのように言葉が出てくる

「正直護廷十三隊とかどうでもいい、自分の知りたい答えがここにあるかと思って護廷に入ったし七番隊の副隊長にもなった」

だからあまり期待をしないでください、と伝え気まずさのあまり外に出る
とりあえず荷物を二番隊舎から七番隊舎に持ってこないといけない





今は何も考えたくない、無駄に自分の身辺周りの慌ただしさに感謝しながらも明日なことを思うと憂鬱だった
空を見たらどんよりと薄暗かった