Episode:3『会いたくないあなたを待つ』



本来なら教壇に立つはずのイルカは、先日の怪我で入院している。
教壇に立っているのは見九の知らぬ若い忍だった。


「下忍は下忍同士でスリーマンセルを組み、上忍師の元で任務に当たる」


その青年はハキハキとよく通る声で説明した。
次いで「残念なお知らせだけれど、班は実力が平等になるようにこちらで決めたよ」と言い、子供達からの非難の声を浴びていた。

班分けに一喜一憂する生徒たちを、九はぼんやりと眺めていた。
九は己の配属先を知っている。ワクワクもドキドキもしなかった。


「7班のメンバーは春野サクラ、うちはサスケ・・・そしてうずまき九だ」


九の名をあげる際、その教師はふと視線を寄せた。
九と視線を交わらせたのは一瞬だったが、三日月のように目を細めて笑んだのが印象的だった。





班の発表が終わると、そのまま60分間の昼休憩に入った。
九はいつもそうするように、人気のない場所をブラブラと散歩しり、空き教室で本を読んで過ごした。
学校で昼食をとったことはないのだ。食べることが好きじゃない。
昼休憩の終了間近に教室に戻ると、何故か仁王立ちのサクラに睨まれた。
九は知らん顔をしたが、今後それができなくなる、少し厄介だと思った。

生徒たちはそれぞれの上忍師に呼ばれて教室を去っていった。
残ったのは7班のメンバーのみ。
誰も喋らない空間に、サクラが居心地悪そうに身じろぐ。
九は窓辺に寄りかかり、ずっと外を眺めていた。今日も晴れ、この分だと明日も晴れだ。
明日はおそらく試験がある。
前世の記憶によると、試されているのはチームワークだったはずだ。
頭の痛い話だ。
九がスリーマンセルを組むことになったのは、火影の強い希望によるものだとダンゾウから伝えられている。
そのダンゾウは、九を表舞台に立たせることに強く反対したそうだ。
この話を聞いた時、どちらかというとダンゾウに賛成だと思った。


カラカラカラと、滑車が回る。
考えに耽っていた九は他の2人より一瞬遅れて、教室の入り口を見た。そこには、会うのは初めてだが、既視感ある風貌の男が立っていた。

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