▽ アゼル は なかま を てにいれた。



オペオペの実を食べてから数年経った。
当時幼女だった私も、今やアカデミーでなんか見たことある少年少女たちと忍のイロハを学んでいる。現在進行形で授業の真っ最中だ。
因みにこの数年で、私の身の回りでは色々なことがあった。ちょっとオカシイ父さんが更にオカシクなって死んだとかな・・・。でもこれは話すと長くなるので割愛する。

そして一番大事な事だが、オペオペの実は本物だった。

本物だった。

大事な事なので二回言いました。
本物だとわかった日から私はこの能力を極めるために、それはそれは厳しい修行に明け暮れた。テンション上げすぎて血反吐を吐くどころかちょっと死にかけたりもした。やり過ぎたと反省してる。
ただ能力を発動した時のイメージは頭の中にあったので、コツさえ掴めばあとはとんとん拍子だった。
こうして、ちょっとNARUTO仕様な能力に改変されているところもあるような気がしないでもないが、概ね死の外科医の真似事は出来るようになったのだ。
この世界にローさんはいないので、なんなら私が死の外科医と名乗ってもいいと思う。
いや、通り名を自分で名乗るのは痛いな。頭の中がいつまでも中二の夏だと思われたらたまらない、お口にチャックだ。


「聞いているのかトラファルガー。黒板の問題を解いてみろ」


そんなくだらない事をつらつら考えていたのがばれたのか、教師がチョークで私を指した。
あと驚きたまえ。実は私、苗字がトラファルガーなのだ。まったくどういう事だってばよ。


「聞いてるのかトラファルガー。ここに来い」

「私に命令するな」


苗字がトラファルガーでオペオペの実の能力を手にした以上、私は相手が誰であろうとこう返事するしかないと思うの。
何故って?ただの使命感です。


「な、なんだその態度は!教師に向かって・・・」

「・・・・あ?」

「っ・・・もういい」


私が一睨みすると、名も知らぬ教師は引き下がった。
どうも私の睨み付けるは効果抜群らしい。目つきが悪いと陰口を叩かれていることも知っている。可憐な乙女のはずなんだけどなぁ。

そうして放課後。
みんなが遊びに行こうぜーとか何とか言って楽しそうに騒いでいる中を一人トボトボと帰る私である。
友達がいないって、なんて寂しいのだろうか。
でも話しかけられると、ついついトラファルガー的対応してしまう私に問題がある事はよくわかっている。甘んじて受け入れるしかないこの状況ってやつだ・・・。


「・・・ん?」


ぼんやり歩いていると、人気のない路地裏から何やら動物の悲痛な鳴き声が聞こえたような気がした。
ちょっと気になってそちらに足を向ける。遊び相手もいない私は帰ったところで暇だなのだ。
路地裏の大きなゴミ箱や変な配管だらけの壁を通り過ぎると、少し開けた場所に出た。そこには楽しげな雰囲気を放つ少年が二人、こちらに背を向ける形で立っていた。


「おいおいコイツ、スゲーのたうち回ってんじゃん。可哀想だし首の骨へし折っていい?こうボキッと!」

「いや、もう少し苦しむ様を観察したい」


少年たちはこんな会話をしている。
彼らの足元にはちょっとした地獄絵図が広がっていた。詳しく言うと、引き千切られたような鳥の脚が散らばっていたり、内臓のはみ出た猫がくったりと横たわっていたり、犬が泡を吹きながらのたうち回っている。
なるほど、これは首を突っ込んだらあかんやつや。
私は冷静に判断した。
あいつら何してんだよ、せめて親父狩るくらいにしとけよ。最近の少年怖すぎだろ。
しかも、見覚えのある容姿だ。
彼らはアカデミーの同級生ではなかろうか。
あの2人の事はよく覚えている。アカデミー入学時に三度見するほど驚いたからだ。あれはオペオペの実を発見した時以来のショックだった。


「あれ?動かなくなった、つまんねぇな。他にもなんかいねーの?次はもう少し大きいヤツで遊びたいんだけど」

「もっと長く苦しむと思ったんだがな。配合を間違えたか・・・」

「ちょっとちょっとペンギンさん俺の話聞いてますぅ?もっと大きいヤツ連れてきてよぉ」

「うるさいシャチ黙れ」


お 分 り い た だ け た だ ろ う か ?

そう、彼らはシャチとペンギン。ハートの海賊団のクルーなのであります。
いや何でいるの?出演先間違えてますよ?と教えてあげたい私でありました。

と、いうわけで帰ろう。すぐ帰ろう。
今までは彼らに声をかけるか凄く迷っていたのだが、今日で踏ん切りがついた。
絶対に関わるのはやめる。私は固く決意した。


「ニャー」

「・・・!!」


何て素敵なタイミングだろうか。私が踵を返そうとしたその瞬間、私の後ろで猫が鳴いた。
そして鳴き声につられた四つの目がこちらを向いた。


「・・・見た?」


半笑いを浮かべたシャチが、おそらく死んでいるだろう動物たちを指差しながら言った。
私は否定できるはずもなく、心の中で号泣しながら肯定した。


「弱いものイジメは楽しいか?変態野郎」


しかし私はトラファルガー。心で泣いて顔で笑うトラファルガー。
トラファルガーのイメージを崩してはいけないという謎の使命感に突き動かされ、ニヤリと嘲笑った。


「おーおー言ってくれるじゃん?」

「ただの実験だ。お前には関係ない失せろ」


今にも殴りかかってきそうなシャチとそれを片手で制するペンギン。
出来れば敵には回したくない感じだ。
だってこいつら絶対ヤバイ(震え声)。


「ハッ、変態の言う事なんざきけるか。おまえらが失せろよ」


でもそこはやっぱりトラファルガー。
ヤバそうな相手に見つかったら積極的に中指立てて挑発するスタイルは崩さない。私はこの方法で過去二度死にかけた。


「ペンギン、記憶飛ばす系のクスリ持ってたよな?」

「ああ、あったな。そう言えば」


ペンギンは制していた手を下ろし、シャチはグーっと背伸びをして笑った。
こいつら煽り耐性低すぎるだろ。もっと言葉の応酬を楽しむ予定だった私にとっては想定外だ。
そして何その犯罪の臭いしかしないお薬。怖いんだけど。
やめて!私に乱暴する気でしょ!?エロ同人みたいに!!エロ同人みたいに!!






とか何とか言って騒いでも、余の辞書に敗北の文字はなかった。
なお元ネタの人はワーテルローの戦いでイギリス軍に敗北を期したそうですがね。史実ェ・・・。
おっと話が逸れた。


「フフフ・・・なに、殺しはしねぇさ。気を楽にしろ」


私の右手にはキューブ型の心臓が一つ。左手にはシャチの頭部が一つ。
私の視線の先には可哀想なくらい真っ青になったペンギンと、頭を探してわたわたするシャチの体が一つずつ。
勝負は一瞬でついた。
私はROOMを展開し、正面切って向かってきたシャチの首を切断し、左から回り込んできたペンギンの心臓をメスで奪い取った。
ROOMの中ではとても簡単なお仕事でした。ありがとうオペオペ!
後は唖然とする二人に向かって不敵に笑うだけ。
いい感じにトラファルガーってるぜ私!


この後の数ヶ月間は、めちゃくちゃ奇襲された。
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