「いったいどういう事なのヤマブキ氏ぃぃぃぃぃ!!」
「煩いよ、だいたい計画通りでしょ」
「なんも聞いてないんですけど!?」

どーもこんにちはー!晴れてドンキホーテファミリーの仲間入りをはたした現代女子です!
何故こんな事になってしまったのか。それを問いただしに、だだ今ヤマブキ氏のベッドに突撃中です!
何故ベッドかって?お部屋が同室だからだよ。おにちくヤマブキ氏と同室なんて神経がゴリゴリすり減る予感!

「これがベストな選択だ」
「どこがやねん!こっちには原作知識があるんやで?!ひっそりこっそり助けたったらええやんか!!」
「そのエセ関西弁腹がたつな」
「すみませんでした」

ヤマブキ氏がニッコリ笑った。その笑顔、アカンやつや・・・!
すかさず華麗なる土下座をお見舞いしてやったがな!これには手も足も出まいよ!!
言ってて悲しくなってきたびょん。

「手下になった理由は3つある。馬鹿な君でもわかるように噛み砕いて説明してあげるからよくお聞き」
「はいヤマブキ様!ご教授のほどよろしく願い致します! 」

もう馬鹿にされても心は痛まない。馬鹿だ馬鹿だと言われ続けて気づいたことがあるからだ。
暴言で人は死なない!それさえ分かっていれば、もう何も怖くない・・・!!あ、マミられるのは勘弁ですよ?フラグ立ったとか言うなよ?

「まず一つ目。これは自称神の暇つぶしだ。故に、もし簡便な方法で任務を達成すると、さらなる無理難題を吹っかけられる可能性がある」
「そんな事は・・・・うむ、あるかもしれない」

あのルーズリーフの内容から感じ取れたことは、コイツ暇を潰すことに全力を注いでいる!!ってことだったもんね。
つまらない助け方をしたら、次は海賊王になれとか言われそうだ。
海賊王に、俺はな・・・らねーよ!!

「二つ目。君の話からは正確な時間の経過が分からない。となると、コラソンの行動を監視する必要がある。どうせ監視するなら、内部からの方がいいだろう」
「うん、それはおっしゃる通りです」

ローが入団してから2年くらいとか、そこから半年くらいとか、ちょっとアバウト過ぎますよね。面目無いっす。
こっちは命かかってるし、慎重にやらないといけないよね。
命・・・。なぜ私たちはこんな事に命をかけているのだろうか。
あれ?急に涙が・・・。涙の数だけ強くなりたい・・・。

「三つ。ここはワンピースの世界に違いないが、原作と異なる点がある。それは勿論、我々というイレギュラーの存在だ。我々が存在している事で生まれるバタフライエフェクトが原作にどう影響していくのか、今の時点では予測不能だ。万全を期すためにも、やはりドンキホーテファミリーに入ることは必須だった」
「ふおおおおお・・・!」

バタフライエフェクトとかナチュラルに会話に盛り込んでくるそのセンスに脱帽した!
私もそんなお洒落な会話してみたい!!

「それに、自称神は捻くれ者のようだからね。コラソンを助けろ、とはつまり、原作に関われということだと俺は思う」

ヤマブキ氏って寡黙なだけで、実はスゲー色んなことを考えてるんですね!
最強設定付きなだけじゃなくブレーンも兼ねてるとか、お前は最強か!
あ、最強だった。

「こんなに喋るヤマブキ氏初めて見た!」
「馬鹿言え。俺は元々結構喋る」
「兵長・・・!?」

進撃が分かるなんて・・・ちょっとヤマブキ氏と仲良くなれる気がした山田でした。

「という訳だから、さっさと俺のベッドから落ちろ」
「ひでぶ!」

え?ベッドから蹴り落とされたんだけど、なんでなん?












コラソンは自室で深いため息を吐いた。
頭を抱えながら思うのは今日入団してきた2人の少女について。
そのうちの一人はどこにでもいるような普通の子に見えた。
彫りの浅い顔に目尻の垂れたあどけない瞳。それをまん丸に見開いて叫びながら登場した時は、一体どうなることかと思った。
ドフラミンゴや、仲間であるはずのヤマブキという少女にも怯えていたあたり、感性は極めて一般人のそれに近いのだろう。何故海賊なんかになろうとしたのか。
そう思ったのも束の間、その疑問はすぐに解けた。
ヤマブキが語った彼女たちの暗い過去。その間、全てを諦めたような目にいっぱいの涙を溜めて、泣くのを堪えている哀れましい表情が可哀想でならなかった。
一体何があったのか。立場上、慰めてやることもできないが、それでもなんとかしてあげたい。
あの子は全てを壊したいと願っているようだが、本当にそれが本心なのだろうか。
いや、本心であるはずがない。あの子の纏う空気には、人の道を踏み外していない者だけが持てる穏やかさがある。あの子はまだ戻れる。希望がある。
正しく導いてくれる大人さえそばにいれば、きっと。

・・・・問題はもう一人の少女、ヤマブキだ。
柔らかく凪いだ声と、硝子のように透明な瞳。幼い丸い輪郭に乗せられた表情は、ゾッとするほど冷徹な笑顔だった。
相方への献身を示しているが、慕っているわけではなさそうだ。腹の底に何を隠しているのか、全く得体が知れない。
どこであんな強さを手に入れたのか。どんな生き方をしたら、あの歳であんな眼ができるのか。
まさか、ドフラミンゴをいとも容易くねじ伏せてしまう少女が存在するとは、夢にも思わなかった。
幼い少女が手にするには過ぎたる力だ。このまま放っておくのは危険すぎる。
あの力は、使い方を間違えれば、ヤマブキをただの殺戮兵器にしてしまう。ドフラミンゴの元には置いておけない。奴はヤマブキを自分のためだけの兵器に育てるつもりでいる。
他の幹部と同じように忠誠心を刷り込んで、自分を絶対の王と崇めるように、少しずつ彼女の心をその糸で雁字搦めにしていくだろう。
そうなる前に、何とか追い出す策を考えなければならない。

でなければ、世界が滅ぶ。

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