はーいこんにちは!
若返り女体化最強設定付きさんに護られながらトリップ生活を満喫している系のティーンエイジャーだよぉ!

・・・・なんて嘘です。
満喫する余裕なんてないです・・・。リアルに最底辺と呼べる生活を送っております。
具体的にいうと生ゴミ漁ったり、物乞いしたり、生ゴミ漁ったり。働けって?貧弱で世間知らずな私の事を雇ってくれる店はなかったのですが何か?
そして乱れた世の片隅、少女は生きるため盗みを覚えていった。醜く太った大人たちなどには決して追いつけはしない風のように・・・・、走れるわけもないので盗みは働いていない。ギリギリ犯罪者にはなってないよ!
異世界だから犯罪とか法律とかもはやどうでもいいが、現代女子にそんなスペックはない。パンを盗んで走って逃げても捕まってボコられる未来しかない。
だから今日も明日も明後日も元気にゴミ漁りだお!!
私には人権なんてなかったんや・・・。

まぁ一応ヤマブキさんが命の保証だけはしてくれているので、人権とか尊厳とか色々失いつつも何とか生きてこれた。
ヤマブキさんというのは、若返り女体化最強設定付きさんのことだ。そして偽名だそうです。
別に偽名使ってもいいけど、せめて隠そうよ。な?じゃないと本名が気になってもやもやするだろう!

因みにヤマブキさんは私が本当に死にそうにならない限り助けてくれない。
今だってどこかの悪人に捕まって奴隷として売り出されそうになっているけれど、ヤマブキさんは私の横でニコニコ笑いながら、抵抗してボコられている私を見守っているだけ。
私の地獄に生傷が絶えない・・・!!

「・・・その辺にしてくれる?彼女に死なれると困るんだ」

ヤマブキさんがあんまり困ってないようなのんびりとした声で言った。
鳩尾を蹴られてプルプル蹲っている私をやっと助けてくれる気になったらしい。漸く救いの手が差し伸べ述べられてホッとした。
でもせめて胃酸を吐く前に差し伸べて欲しかったぜオボロシャァァァ!

「何だクソガキ!テメェもボコッてやろうかぁ?」
「やめろボブ。それはまだ子供だが顔は良いんだ。傷つけられちゃあ値が下がる」

私は顔が良くないからボコッても良いってことですね!・・・べ、別に泣いてなんかねーし!かわいいは正義だからしかたねーし!グスッ。

「何泣いてるの?」
「だから泣いてねーつってんだろがぁ!!」
「誰に向かって口をきいている」
「すみませんでした!」

例え生傷だらけでも、胃酸を吐くほどボコられても、呼吸をする度全身が痛んでも、私にはやらなければならない事がある。
そう、それは土下座である!!
ヤマブキさんの機嫌を損ねるととてもヤバイことになるのだ。躾けられているとか言うな!
とにかく、土下座を極めることに専念したこの数ヶ月。土下座スキルはMAXである!・・・何やってるの私。
流れるように土下座する私を見てヤマブキさんはハハッと笑った。
さすがおにちくぱねぇっす。


そんな訳で、悪人たちはヤマブキさんにズッタズタにされ、私は事なきを得た。
・・・・事なき?傷だらけだけェ・・・。

そして寝ぐら(空き地の土管)に帰る途中。

『私だ。神だ。今、あなたに手紙で、間接的に、話しかけています。』

こんな冒頭で始まるルーズリーフを拾った。

「ヤマブキさん大変だああああたああ!!!」

ヤマブキさんは基本的に私のそばにいない。ピンチになると何処からともなくやって来て、死にかけの私をあざ笑いながら時々助け、また何処かへ去っていくのだ。・・・SPって何だっけ?
そんな感じなのでもし用事があるときは大声で叫べと言われている。

「・・・・・・・」

道行く人が突然叫んだ私を、見てはいけないものを見たような顔であからさまに避けていく。
ヤマブキさんが来る気配はない・・・だと?
誰か嘘だと言ってくれ。恥ずかしい・・・。


そして羞恥に耐えられなくなった私は痛む身体に鞭打って走って帰ってきた。
人目が気になる系現代女子ですみません。ゴミ漁りだって人気のない時間帯にしてるし、物乞いだって病気の母がぁとか言って同情をかうようにしている。
だからあれは恥ずかしかった。穴があったら鍵をかけて躊躇いなどないだろう。間違っても二度と開くことのないようにな!

「何か用かい?」

私が寝ぐら(空き地の土管)に潜り込もうと四つん這いになったところで、背後から声をかけられた。
勢いよく頭を上げた私が土管に後頭部を強打したことは言うまでもあるまい。前歯が飛び出すかと思った。

「これ、拾いまして・・・」

私のコントのような姿を見ても表情を変えないヤマブキさんにルーズリーフを差し出す。何か反応して欲しかった。嘲笑う感じでいいから。ノーリアクションが一番堪えるんだよ?知ってる?あ、そうですか。
ヤマブキさんは一瞬顔を顰めてルーズリーフを受け取った。
ドキドキと正座して待つ。気分は母親に通知表を読まれている時ののび太くんだ。

ヤマブキさんは考え事をするように腕を組んだ。何を考えていらっしゃるのだろう、まさか見捨てられやしないと思うが・・・・。

「俺はワンピは頂上決戦までしか読んでないんだ」

ほほう。ヤマブキさんがワンピを読んでいたことに驚きだ。漫画とか読むような感じの人じゃないから、てっきり知らないものだと。でもワンピは国民的漫画になりつつあるからおかしくはないのか。・・・ん?

「え、ナルト世界にもワンピあるんですか?」
「は?あるわけないだろ」

デスヨネー。え、じゃあ何でこの人知ってるんだ?ヤマブキさんてナルト世界からトリップした忍系美少女だよね?

「君は馬鹿か?いや、馬鹿だな君は」
「おうふ、唐突なる罵倒が始まってしまった」
「今まで君が現代人しか分からないようなことを言っても俺には通じてただろ」
「あ、確かに」

言われてみれば、現代からトリップしてきたと言った時も「現代て何処だ」的な話にはならなかった。
それにナルト世界で主人公に会ったことある?と聞いた時は「関わりたくないけど会ってみたいかな」と返された。
確かにこれはおかしいぞ。
なんの違和感もなく色んな会話してきたけど、違和感ないことに違和感を覚えるべきだったのか。

「え、まさか現代にトリップしたことがあるのですか?」
「逆だよ馬鹿。現代からナルト世界にトリップしたんだ。因みに転生トリップな」

新 事 実 発 覚 !!
なんと若返り女体化最強設定付き様は、ホントは鳴門転生若返り女体化最強設定付き様だった!!

「マジかよ気づかなかった」
「何で気づかないのさ・・・まぁいい。本題に戻すよ」
「あ、はい!」

衝撃的すぎてルーズリーフの事を忘れていた。
いやだって転生トリップin鳴門だよ?海賊トリップよりハードそうじゃん。
よく死なずに生きてこれたね。頑張ったんだね。なんか巻き込んでしまってスマンいやマジで。

「で、コラソンってのは誰?」

ヤマブキさんは私にルーズリーフを突き返した。その顔には面倒臭いことになったぜ!と書かれている。
どうやら協力してくれる気はあるらしい、良かった!

因みにルーズリーフには、

『ここ数ヶ月見守って来ましたが、山田さんが死にかけるくらいしかイベントがなくてとても退屈です。何か面白いことにならないかなーと思ってトリップさせてあげたのに、山田さんにはガッカリしました。そこで、山田さんに任務を課すことにします!!山田さんは馬鹿なので気づいてないと思いますが、その世界の時間軸はコラソンが死ぬより前です。なので、山田さんにはコラソンを助けてあげて欲しいのです。山田さんも助けたいって言ってたから一石二鳥だよね!追伸。失敗したらお前も死ぬことになるぞ。では頑張り給へ!!』

なんて事が書かれていました。
最後怖ェよ!!
そしてさりげなく馬鹿にされている山田である。
私に力があれば、この自称神を八つ裂きにしてやれるのに。
弱い奴は死に方も選べねぇ・・・!

「ヤマブキさん後生です手伝ってくださいお願いします」
「ま、君に死なれると俺もゲームオーバーだしね。だから色々教えておくれよ」
「はい!直ちに!!」

そうして、その日はヤマブキさんに頂上決戦後の展開を説明するだけで終わりを迎えた。
・・・・ご飯、食べてない。
ヤマブキさんは何処からともなく取り出した美味しそうなサンドイッチを食べていたけどな!
分け合うという選択肢はないんですねデスヨネー。

「そう言えば、フレバンスってまだ戦争中だったはず」
「なんですと!?じゃあローを助けに・・・」
「行ってくれば?」
「あ、私一人じゃ無理でした☆」

弱い奴は生き方も選べねぇ・・・。これメモな。

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