世の中不思議がいっぱいだし夢もいっぱいだ。漫画もいっぱい溢れてる。
取り分け私は某海賊漫画が大好きなのでございます。
死の外科医とかシロクマとかちょーぷまいですぺろぺろ。
もちろん、他にも好きな漫画はいっぱいあります。でもやはり海賊!
海は男のロマン!わたくし女ですが。
ああもう好きすぎて海賊漫画の世界にトリップしたい!トリップしてエースやコラさんを助けて白ひげ海賊団やローさんを侍らせたい!!神様のお願いします!!

・・・そんな不純な夢を抱いている時期が私にもありました。何故なら漫画の世界は素敵な冒険でいっぱいだしイケメンもいっぱいだし、とにかくいっぱいいっぱいなのでございます。
というか私がいっぱいいっぱいなのでございます。

私は今、某海賊漫画の世界で海賊だかゴロツキだかに襲われそうな所を助けられたのに実際には助かってなかった、はい今ここ!という状態です。
もうお腹いっぱいだよ夢なら覚めろ!どうしてこーなった!?だれか説明プリーズ!できれば簡潔に10文字くらいでな!!

「トリップ?信じられるかjk」
「じぇーけぇ?・・・ハッ女子高生か!」
「冗談は顔だけにしろだよjk」
「いやいやいや、常識的に考えてだろjk!!」

私の目の前でやさぐれた顔をしている女の子が、血塗れのナイフを自分の服で拭っている。
彼女がゴロツキどもをズッタズタにして私を助けてくれた張本人だ。ありがたやァ・・・。

しかし彼女と会話する事十数秒。
私はすっかり敵認定されてしまった。何故なのか。
どうやら神様とかトリップとか異世界人とか、その辺の言葉が良くなかったらしい。
まあ「神様の気まぐれで平成からトリップしてきちゃった異世界人なんです助けて!!」と口走ってしまった怪しさ満点の私が悪いのかもしれない。
なるほど考えてみれば私でも全力で距離を置く発言だった。
言葉は選ばなければならないのね。でも混乱してたの、それはわかって欲しい。
そう思って懇願するように見つめれば、凍てつくような視線を投げつけられて心臓が凍るかと思いました。
彼女は私よりも小柄でたぶん歳下でとても可愛らしい顔をしているのに、凄く・・・・怖いです。

だが私はめげないしょげない泣いちゃダメないけいけガンコちゃんよろしく絶対信じてもらう!そして安全な所まで送ってもらう!そしてあわよくば住み込みのお仕事とか紹介してもらう!!
図々しく目指すぜ衣食住!
エースを助けるとかコラさんを助けるとか言いましたが、それは命の保証があってこその願望だった。これが世界の心理か・・・・納得だぜェ!

「だから、某海賊漫画にトリップしてしまったんです!嘘じゃないんです!!」
「幻術の一種だろ?まさか月読?君うちは一族なの?」
「ここでナルトネタキターーー!うちはは犠牲になったのだ!犠牲の犠牲にな!」
「先ずはお前の減らず口を犠牲にしてやろうか?」
「ぼ、僕は悪くない!だって悪くないんだか嘘ですごオールフィクションですごめんなさいゴベンナザィィィ!!」

綺麗になったばかりのナイフを突きつけられたのでなりふり構わず謝った。
なんかそのナイフ凄く見覚えがあると思ったら一般的な食卓用のナイフだった。
そ、そんな物で人をズッタズタにしたの・・・?
そしてベルトにはフォークが刺さっているのを発見してしまった。
用途は分からないけどきっと私が知ってるような使い方はしないだろうということは分かった。
ふえぇぇ怖いよぉ〜。
よし!恥と外聞は捨てた!許しを乞うために土下座でも裸踊りでも何でもするぜぇ!!何故なら命が惜しいから(ドンッ!)。

「・・・・何か降ってくる」

彼女は空を見上げながら呟いた。私の捨て身の土下座を見ていない・・・・だと?
辛い現実が私を襲う。早速めげそうだ。こんなんじゃざわざわ森でも生きていけないわ・・・。

彼女の視線を辿ると、上空でなにやらヒラヒラしている物が。例えるなら半分に折られたルーズリーフのような。

「・・・・えっ」

空を舞うルーズリーフ(仮)を見ていた私の視界に、急にあの女の子が入り込んできた。彼女はルーズリーフ(仮)をパシッとキャッチし、華麗に一回転してストンと着地した。

「えええええええええ!!」

なんだ今のジャンプ力!!
建物の二階くらいの高さまで飛び上がってたよ!!

「何だか体が軽いなぁ。重力が違うのか、幻術だからなのか」
「まだそのネタ引きずってるの!?っていうか何今のジャンプ!!実はバッタなの!?テラフォーマーなの!?その脚力でじょうじたちを倒すんだね!?よし応援するわ!」
「喧しい子だなぁ。バッタでもないしゴキブリなんて下等生物は相手にしないよ」
「おい貴様ァ!ゴキさんを舐めんな!彼らは核戦争でも生き残れるスペックを持ってるんだぜ!!凄いんだぜ!!」
「それよりこれ読んでみなよ」
「いだっ!」

ゴキさんの凄さを語ろうとしたのにルーズリーフ(仮)を顔に投げつけられた。ただの薄っぺらい紙なのにべチッと痛かった。解せぬ、と思いつつ読んでみる。

『私だ、神だ。君をトリップさせたのは私だ。君の願いを叶えてやったのだ。どうだ嬉しかろう嬉しかろうフハハハハハ!!因みに君の側にいる少女はナルト世界からトリップさせた若返り女体化最強設定付きだ!ボディーガードとして使い給へ!!ではな!』

この紙本当にルーズリーフだったェ・・・・。ってそうじゃねぇよちょっと待てえええええええええ!!

「やっぱり君のせいか」
「ぎゃあああああ!!若返り女体化最強設定付き様がお怒りだばばばばば!!殺されりゅうううう!!」

色々突っ込みたいけど、とりあえず待て!早まるな!ナイフを持って近づくな!!笑顔なのが逆に怖い!!

「あああ!!待って!もう一枚!もう一枚降ってきたよ!!」

また空からルーズリーフがヒラヒラと落ちてきた。若返り女体化最強設定付きさんは視線を私に固定しながらもパシッとキャッチした。
ちらりとも見ずにキャッチできるなんて若返り女体化最強設定付きさんのスペック凄い!
これは絶対にっょぃ。勝てなぃ・・・。

因みに書かれていたのは、

『追伸。田中が死んだらお前もゲームオーバーだ、木の葉のカッコウドリよ!』

田中とは私のことだ!
しかし木の葉のカッコウドリの事はよく分からない。
まさか若返り女体化最強設定付きさんがそうなのだろうか。
そう思って見れば、若返り女体化最強設定付きさんの額には青筋が浮かんでいだ。

あ、私オワタ。
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