「なんでウィーズリーがスリザリンに・・・」
ホグワーツの夕食は豪華だ。
ウィーズリー家の素朴で賑やかな食卓も悪くはないが、元貴族としては生ハムメロンのような料理を静かに食す方が性に合っている。
「と言うか何故僕の隣に・・・」
私は四つ目の生ハムメロンを完食し、冷たいダージリンの入ったゴブレットを呷った。
本当はワインを飲みたいのだけれど、この年齢ではまだ当分お預けだ。
この不遇を嘆くばかりだ。
「ドラコ、そこのメロンとプロシュートをとってくれないか?」
「まだ食べるのか!?というかその組み合わせは本当に美味いのか!?」
先程からブツブツと煩かったドラコが、ギョッとした顔で私を見る。
私は机の下で杖を振るった。
「食事中に大声を出すな」
「すみません」
見えない力に引っ張られるようにミネストローネスープへ顔面ダイブしたドラコは、顔に野菜の破片をへばりつかせながらしおらしく謝った。
「テーブルや顔も汚すな。次からは気をつけたまえ」
「はい」
私はドラコが散らかしたスープの残骸をエバネスコする。ドラコの汚れた顔や服もまとめて綺麗にしてやった。
周囲の生徒はドラコの奇行にドン引きしていた。
「アゼル様、ご所望の生ハムメロンです」
そんな中で私に声をかけたのは、隣の席に座る上級生だった。
名前はアラン・マルシベール。
まさかマルシベールの子供の後輩になるとは思わなかった。人生って不思議。
しかしこの先輩は困ったことに、初対面の私に対して不躾な物言いばかりだった。
曰く、私がいることでスリザリンの格が下がるのだそうだ。
小蝿のようにウザい男だった。マルシベール家ではどういう躾をしているのだろうか。
仕方が無いのでドラコと同じように注意してやったのだが、一瞬白目を向いたので焦った。でも多分見間違いだと思う。
「・・・盛り付けがイマイチだな」
「すぐに別のものをご用意致します!」
マルシベールのへりくだる様がハウスエルフのようで少し可笑しい。
彼のことはドビーと名付けよう。
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